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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

ひとり親世帯の貧困率、50%超え…安い加工食品三昧→病気の負のスパイラル

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
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相対的貧困が招く未来

 日本では今、「相対的貧困」という状況に陥る人が増えています。数年前に比べると貧困率は若干減ったとはいえ、15.7%と世界で14番目です。しかし、先進国のなかでは、中国、アメリカに次いで3番目という貧困率の高さなのです。そんななかで筆者が着目すべきと考えているのは、ひとり親世帯の貧困率です。15年の時点で50.8%、つまり、ひとり親世帯の半数は貧困状態なのです。

 それはいったい、どのような影響を全体に与えるのでしょうか。大変深刻な問題を孕んでいると考えざるを得ません。貧困に陥ると、真っ先に食事に困ることになります。最終的には加工食品だけの食事になっていきます。これは、アメリカのSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program)でも実証されています。SNAPは08年以降呼び名が変わりましたが、以前は「フードスタンプ」と呼ばれていました。アメリカ政府が低所得者や高齢者、障がい者や失業者などに提供する食糧支援プログラムのことです。現在約4000万人がこのプログラムの支援を受けていますが、これはアメリカの人口の約12%に当たります。

 筆者には、これが日本の未来図のように思えてしまうのです。そして加工食品ばかりになってしまった食生活によって、多くの人は健康からどんどん離れていきます。そして病気になっていくのですが、そうなっても貧困のため医療機関にかかることもできない。それは、恐ろしい未来ではないでしょうか。これを筆者の杞憂だと断言できる人がいますか。もし、これが現実になってしまったら、真っ先に犠牲になるのは子供たちです。ひとり親世帯の子供は、その確率がさらに高くなるでしょう。

 私たちは自分の手で、この未来図を書き換えることは不可能なのでしょうか。いいえ、そんなことは絶対にありません。自分たちの未来は選択できます。もう一度書きますが、選択というのは創造のプロセスです。その選択によって、どのような未来も創造できます。

 まず、私たちが取り組むべきは、今日の食事ではないでしょうか。お金をかける必要などありません。時間を費やす必要もないのです。家庭料理をシステム化することで、多くの食生活に関する問題は解決の道を歩み始めます。筆者はすでに、その道を歩き続けていますので、一緒に歩いていっていただきたいと思う次第です。

 そうそう、暮れといえば忘れてはいけない落語が、もうひとつありました。「二番煎じ」です。火事が多かった江戸で、年末に町内の旦那衆が火の用心のための夜回りをすることになり、番屋で風邪をひかないようにということで煎じ薬を飲むのですが、これが実は「お酒」で、薬の口直しと称して「しし鍋」まで食べてしまうという話です。この後の展開が面白いのですが、それはさておき、適量のお酒と鍋物なんてぇ、庶民のちょいとした贅沢さえままならねぇってな時代が来るんでしょうかねぇ。いやいや、そればかりは、御免蒙りてぇもんです。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

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『大切な人に食べさせたくないもの、食べてほしくないもの』(ワニプラス)

 このたび、本連載を抜粋したものに大幅に加筆、修正を加えた本を上梓いたしました。私たちの食生活に欠かせない最新情報満載です。どうぞ、お読みください。

●南清貴(みなみ・きよたか)
フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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『大切な人に食べさせたくないもの、食べてほしくないもの』 日本の危ない食事情に警鐘を鳴らし続けてきた著者が、日々の食生活から遠ざけたい食材、メニューを、その恐ろしい理由と共に指摘します。 amazon_associate_logo.jpg
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