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西島基弘「食品の安全、その本当と嘘」

食品添加物は危ないと煽る人は、生体では起きない実験を根拠に…国の安全評価過程に無知

文=西島基弘/実践女子大学名誉教授
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・「ソルビン酸は厚生労働省が使用基準を設定。基準量以下なら人の健康を損なう心配ない」ということは、逆に考えれば、基準値を超えた量は健康を損なうということ(1)。そもそも、ソルビン酸を使用すること自体に危険性が指摘されているのに(2)、基準値をオーバーするなんて、ありえない。

・ソルビン酸の「発がん性」を問題視する(3)。

・動物実験では、肝臓肥大、成長抑制、染色体異常を引き起こすことが報告されている(4)。さらに添加物には『相乗作用』といって、別の物質が組み合わさると毒性を持つケースがある。たとえば、ハムやソーセージにはソルビン酸に加えて、肉の色を良く見せるために発色剤「亜硝酸ナトリウム」が使われることが多い。ソルビン酸と亜硝酸ナトリウムが混ざると、発がん物質ができることは世界的に有名な話だ(5)。

 消費者のなかには、この記事を鵜吞みにする人もいるかもしれませんが、この記事にはいくつかの間違いがあります。少し冷静に検証してみたいと思います。

ソルビン酸は指定添加物

「基準値以下であれば人の健康を損なう心配はない」というコメントは間違いではありませんが、コメントをした方は食品添加物に関する許可の過程を知らないのではないかと思います。ここで取り上げられているソルビン酸は、保存料として厚生労働大臣が指定添加物として許可した物質の一つです。指定添加物は天然や人工の区別なく食品安全委員会が安全性を確認し、それを踏まえて有効性や品質を確認し、消費者の利益になると判断して許可をしたものです。

 ソルビン酸は作用が弱いものの広範囲のカビや微生物に対し、増殖を抑える効果があるため漬物やハム、ソーセージ、いかくん製品、ワイン等などの果実酒など広範囲の食品に使用が許可されています。また、世界的にも米国やヨーロッパ等多くの国で許可され使用されています。

 食品安全委員会ではソルビン酸及びその塩類(ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム)をグループとして評価しています。一日摂取許容量(ADI:毎日その量であれば一生涯食べ続けても健康に影響がない量)をソルビン酸として25mg/kg体重/日と設定すると厚労大臣に通知しています。食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)も同じくADIを0-25mg/kg/日としています。

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