北朝鮮の船はすぐ近くいたりして、水産庁の取締船が退去命令を出したり、放水したりしているのは見ています。だけど中国船が出てくると、危険性があるからということで、うちらの船に出ていくようにと水産庁は指示するんですね。だから、中国船に放水しているというのは見たことはありません。出て行かされるので、その期間、操業もできないということにもなります。

 北朝鮮の船が問題になっていた時は、国交がないから拿捕できないという話でした。中国とは国交があるので拿捕すればいいと思いますけど、一隻も拿捕していないです。取締船を増やしたり、人員を増やしていただいているのは確かなんですが、うちとしてはかなり厳しい状態ですね。このままですと廃業につながりかねません」

 こうしたことは一部でしか報道されていないが、都会ではイカが高騰して、今や高級魚になってしまっていると感じるほどだ。

「弱っているのは私たち漁業者だけでなく、加工業者さんのほうはもっと大変だと思うんです。数年前の5倍くらいの価格になっている例もあるので、それで一般の方たちが理解して買ってくれるかどうか」

 日本と北朝鮮のEEZは大和堆の北あたりで近接しているが、中国はそうではない。北朝鮮が自国のEEZ内の漁業権を中国に売ったと見られている。北朝鮮の場合、個々の漁民が脱法行為をしていると見ることもできるが、中国の場合、国ぐるみの海洋戦略の一環なのかもしれない。イカが高くなった、と嘆いているだけでは済まない問題をはらんでいる可能性があるのだ。

(文=深笛義也/ライター)

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