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梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

電車はブレーキをかけてから何mで停止できる?新幹線は?列車脱線事故の京浜急行電鉄は?

文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト
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 同書によると、列車がブレーキを作動させて停止するまでの距離S(m)の計算式は次のとおりだ。

・S=V1の二乗-V2の二乗÷7.2×(β+θ÷K)+t×V1÷3.6

 V1は初速度(km/h)、V2は終速度(km/h)、tは空走時間(秒)、βは減速度(km/h/s)、θは勾配(パーミル)、Kは係数で電車による列車は31、機関車に牽引される客車による列車は30。

 いま挙げた計算式や条件をいくつか補足しよう。βで使用するkm/h/sという単位はキロメートル毎時毎秒と読み、1秒間に時速何km分減速するかを表したものだ。現在一般的に用いられている減速度の単位であるm/sの二乗(メートル毎秒毎秒)との関係は、1km/h/sが約0.278m/sの二乗、1m/sの二乗が約3.6km/h/sとなる。

 tの空走時間とは、運転士がブレーキハンドルを操作してから実際にブレーキが利くまでの時間を指す。全国の鉄道車両の中で最も数の多い電車の場合、新形式は2秒、旧形式は4秒だ。JRや大手私鉄、地下鉄の電車はすべて新形式と考えてよいので、空走時間は2秒となる。

 なお、電車以外の車両の場合、空走時間はさらに長い。客車による列車では機関車を含めた両数が5両で6秒、10両で8秒、15両で11.3秒となる。ディーゼルカーによる列車の場合は利き目の早い電磁式のブレーキを備えていると4秒、そうでないと客車による列車と同じと見なす。

 貨車による列車は機関車を含めた両数が25両で6.3秒、30両で7秒だ。ちなみに、貨物列車1本当たりの車両の数は機関車1両にコンテナ車であればたいていは20、24、26両のいずれか、タンク車であれば最大23両となる。

 勾配とは線路の傾きの度合いで、水平距離1000mに対する高低差の比率をパーミルという。上り坂は正の数、下り坂は負の数でそれぞれ表す。

 細かなことだが、同書には係数は電車による列車、そして客車の列車の係数しか掲載されていない。恐らく、ディーゼルカーによる列車は電車による列車と同じ、貨車による列車は客車による列車と同じかさらに少なく、つまり停止までの距離が延びるとして29程度と推測される。

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