千代田区立麹町中「定期テストも固定担任制も廃止」の弊害…子どもの学力格差を助長の画像1
千代田区立麹町中学校(「Wikipedia」より)

「宿題廃止、定期テスト廃止、固定担任制も廃止」で生徒の学力をアップさせるという、千代田区立麹町中学校教育改革が話題になっている。2014年に就任した工藤勇一校長は「生徒の自律・主体性」を掲げ、自由な校風を全面に押し出している。そんな同校の教育ノウハウを取り入れようと見学に訪れる教育関係者は後を絶たず、教育界のみならず経済界からの注目も高まっているという。

 また、すでに校則を全廃していた世田谷区立桜丘中学校も19年度から定期テストを全廃するなど、革新的な教育体制が広まりつつあるように見える。そんな流れに対して懐疑的な見方を示すのは、教育コンサルタントの中土井鉄信氏だ。

「麹町中は、戦後約20年も東大合格者数トップを誇った都立日比谷高校への合格者を多く輩出してきました。また、千代田区民の平均年収は東京23区内では港区民に次いで2位と、教育に多くのコストを割ける家庭も多い。つまり、そもそも麹町中は学歴格差と経済格差の勝ち組が集まる学校なので、生徒に自由にやらせてもうまくいくに決まっているんです。そのため、同校の教育方針がどの学校でも万能に効果を発揮するという思い込みは危険です」(中土井氏)

定期テストも固定担任制も廃止の弊害

 麹町中では、定期テストを廃止する代わりに単元ごとの確認テストを実施している。そのためテストの回数自体は増えることになるが、学校生活において高頻度でテストを強いられるようになると、どんなことが起こるのか。

「勉強が苦手な子は宿題が出なければ自主学習をしないので、日常的にテストに追われればモチベーションが下がり、逆に勉強から気持ちを遠ざけてしまいます。そうすると、学習能力のある子とそうでない子の格差はますます開き、学力の二極化が進んでいく。一見自由なように見えますが、日々の学習態度を常にテストで監視しているので、どちらかといえば管理型の教育方法なんです」(同)

 単元テストの点数が芳しくない場合は再テストを受けることも可能で、2回目で良い点数を取ればそちらが成績に反映され、1回目の点数は帳消しになる。定期テストを廃止した理由には一夜漬け学習の癖をなくすという意図もあるようだが、これについても「全然共感できない」と中土井氏は一蹴する。

「一夜漬けでいいじゃないか、と思いますね。目の前に課題があって明日までにやらなきゃいけないんだったら切羽詰まってやるべきだし、できなかったら改めればいい。生徒に見せかけの自由を与えておきながら実際は監視下に置いて、失敗の機会を奪わないでほしいです。不自由を経験するからこそ自由を渇望するわけだし、自由な発想や創造性も生まれるもの。子どもの『生きる力』を底上げしたいのであれば、制限や不自由こそ与えるべきです」(同)

 また、麹町中では固定担任制の代わりに学年教員が全員で学年の全生徒を見ており、面談時には生徒が好きな教員を逆指名することも可能だ。このような体制も、一見自由度が高いように見えて、生徒と教員の双方にとって足枷となる可能性をはらむという。

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