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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

ユニクロが海外進出で感じる、日本の家電・自動車メーカーが築いた“日本ブランドの尊さ”

文=大﨑孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer
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フィリピンの自動車事情

 フォーチュナーに代表されるように、フィリピン市場は日本以上にSUVの人気が高い。日本のSUV人気の理由にはキャンプなどレジャーにおいて便利であるといったことが挙げられるようだが、フィリピンのSUV人気には深刻な理由がある。

 まず、道路の舗装が行われていない、もしくは不十分という場所が多い。また、排水の設備が整っていないため、それほど強い雨でなくとも頻繁に洪水が生じる。日本で洪水といえば人が流されるような大規模なものを想像してしまうが、こちらでは膝あたりまでの水位になると洪水と表現する。もちろん、このレベルでも普通の乗用車には大きなダメージとなる場合がある。

 フィリピンでもっとも売れているトヨタの人気の秘密に迫るべく、現地の人にインタビューすると、まず故障率の低さ、燃費の良さという、いわゆる性能の良さが挙げられた。また、故障した場合、補修部品が安いという意見も多く聞かれた。この点に関しては、トップブランドであるため、メーカーの純正品に加え、多くの模倣品のようなものが広く出回っているのではないかと思われる。

 また、古くは日本の家電メーカーを中心に形成された“日本”というブランドへの絶対的な信頼感のようなものを、こちらが驚くほど多くのフィリピン人が強く抱いているとあらためて感じた。この点に関して、ユニクロ・フィリピンのスタッフが「日本の家電メーカー、自動車メーカーが築いてくれた日本ブランドの恩恵を自分たちは受けている」と言っていたが、現在ではそのユニクロもフィリピンにおいて高品質であると話題になっており、このようにして日本ブランドの価値が継続していくことは、実に素晴らしい。

 さらに、日本ブランドに関しては、グラブ(日本では“白タク”に該当するため違法だが、フィリピンでは広く普及している自動車配車サービス)のドライバーとの会話は興味深かった。彼はスズキの自家用車を利用してグラブのサービスを行っており、筆者が「なぜ人気のトヨタではなくスズキを買ったのか?」と聞くと、「トヨタはフィリピンで製造している。しかし、このスズキは日本で製造されている。当然、日本で製造されているほうが優れている。俺はフィリピンの技術を信用していない」と答えた。

 一般には輸入よりも現地生産のほうが、雇用の創出など、地元経済への貢献となるため好意的に受け入れられると考えられているが、一消費者の立場に立てば、そういう考えもあるのかと大変勉強になった。
(文=大﨑孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer)

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