テスラは20年春に壁に取り付ける家庭用蓄電池「パワーウォール」を日本で発売する。日本での価格は1キロワット時換算で7万円強となり、日本勢の平均とされる18万円前後を大きく下回る。テスラは立ち上がったばかりの日本の家庭向け蓄電池市場で先行するパナソニックやシャープを脅かす「黒船」と恐れられている。

 かくしてパナソニックとテスラの蜜月は終わった。パナソニックが19年5月に発表した19~21年度の新中期戦略では、これまでの成長事業に位置付けていた車載を「再挑戦事業」に格下げした。

赤字3兄弟の液晶、半導体、車載電池を整理

 パナソニックは19年11月、液晶パネル事業からの撤退と半導体事業の売却をたて続けに発表した。液晶パネルは10年に生産を始めたが、16年に競争激化を理由にテレビ向けから撤退。その後は医療機器や車載用などに特化して赤字脱却を目指したが、再建を断念した。半導体事業は台湾の新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)に売却する。半導体子会社パナソニックセミコンダクターソリューションズ(京都府長岡京市)の全株式を20年6月をメドに約270億円で売却する。

 パナソニックは半導体を自社の家電製品に多く組み込み、かつては生産量が世界10位に入っていた。しかし、韓国・台湾企業の低価格攻勢を受け、競争力を失った。19年3月期の売上高は最盛期の5分の1程度の922億円に減少、営業損益は235億円の赤字。20年3月期の黒字化は難しくなっていた。売却額270億円という安さに関して、「店仕舞いのバーゲンセール」(金融関係者)と酷評された。

「AV機器が沈んでいくなか、車載向けなどにカジを切ったが、スピード感が足りなかった」

 半導体事業を担当する北折良常務は11月28日、台湾メーカーへの事業売却を発表した席上、“敗戦の弁”をこう述べた。車載事業の中心はリチウムイオン電池である。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰・旭化成名誉フェローが開発したリチウムイオン電池は、日本勢のお家芸だった。だが、近年は中国が最大のEV市場となり、中国政府は車載用電池について国を挙げて育成に乗り出した。中国企業が首位を走っていたパナソニックに追いつき、追い越した。

 パナソニックは21年度までに赤字事業をなくす方針を掲げる。巨額投資の成果が出ない車載事業を「成長の柱」から外す。これが、テラス向け以外の車載事業をトヨタに事実上、譲渡することの意味だ。液晶パネル、半導体、車載電池の“赤字3兄弟”の整理のメドがついた。

関連記事