NEW
エンタメ

箱根駅伝で増加する留学生ランナー、斡旋コーディネーターが明かす“カネ事情”と実態

文=後藤豊/フリーライター
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
箱根駅伝で増加する留学生ランナー、斡旋コーディネーターが明かすカネ事情と実態の画像1
第96回箱根駅伝予選会の様子、一番右が桜美林大学のレダマ・キサイサ選手(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 令和初の東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)が、いよいよ開催される。元日の「ニューイヤー」を含めて正月の風物詩である駅伝は、昨年12月に終了したNHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺~』の主人公・金栗四三により生み出された日本古来の競技である。

 そんな駅伝で、近年はカタカナランナー=留学生の姿もおなじみとなった。今年は拓殖大学、東京国際大学、創価大学、日本大学、国士舘大学の5校が留学生ランナーを抱えている。海外からやってきた“イダテン”たちの知られざる実情に迫ってみよう。

留学生が“麻薬”と称される理由

 箱根駅伝で初めて留学生が走ったのは、1989年の第65回大会だ。山梨学院大学のジョセフ・オツオリ選手が7人抜きを見せ、観客はもちろん各大学が衝撃を受けた。

 箱根駅伝は、各大学が「野球とアメフト」以上に力を入れる花形競技である。言うまでもなく、大学の知名度とイメージを高めて受験生を増やすのが目的だ。拓殖大のように昭和期から数多くの留学生を受け入れていた大学もあるが、多くの大学は学校経営におけるPR手段のひとつとして留学生を獲得している。高校時代に1500mで5分を切ったランナーの多くが有力大学に青田買いされるなか、中堅の大学は留学生を受け入れるのが得策なのである。

 留学生の起用から3年後、山梨学院大は見事に初優勝を果たし、一躍全国にその名が知れわたった。これ以降、留学生ランナーを抱える大学が続出。刺激を受けた日本人選手も速くなるなど、駅伝の強化にもっとも手っ取り早い手段となった。大学関係者の中には「留学生は“麻薬”。一度使ったらやめられない」とつぶやく人までいるほどだ。

 アフリカ人が日本人をごぼう抜きにする姿に駅伝ファンから賛否両論が沸き起こると、箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟は2006年に「エントリーは2人以内、出場は1人」というルールを設けた。

 ちなみに、19年の予選会では個人タイムの上位4名が留学生だった。トップのレダマ・キサイサ選手(桜美林大学)は2位以下を30秒以上も突き放す独走を見せたが、ほかの選手のタイムが劣り、同大は出場43校中28位で本戦切符は逃している(2~4位は本戦に出場)。

留学生コーディネーターの裏話

 留学生の多くは発展途上のアフリカからやってくる。特に多いのがケニア人だ。道路が舗装されていない環境で幼い頃から何キロも走って学校に通っていた彼らは走ることに長けており、スタミナも抜群。なかでも農耕民族である「キクユ族」は我慢強く、逆に放牧民族の「カレンジン族」は「あちこち動き回るため集団行動になじまない」そうだ。

 以下は、日本に留学生を斡旋する「留学生コーディネーター」のA氏から直接聞いた話である。

「私の役割は、早く言えば人買いです。ケニアの選手を橋渡しして各大学や学校法人から紹介料を受け取るわけです。ただし、選手が稼いだ賞金にはノータッチです。なかにはそこに手を付ける輩もいるけど、それはご法度です」(A氏)

 そんなA氏の選手を見る目は確かだ。見るのは選手の走る姿、特に「蹴り」である。蹴りが流れていなければ、長距離を走ることができるという。

関連記事