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鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

乗合バスが存亡の危機、需要減退→経営悪化の負のスパイラル…高齢者の免許証返納を阻害

文=鷲尾香一/ジャーナリスト
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 それは、近年大きな社会問題となっている「高齢ドライバーによる交通事故」問題だ。防止策としては運転免許証の返納がキーとなるが、返納を促進するためにはマイカーに代わる交通手段の確保が重要だ。代替の交通手段として最も有力なのは「乗合バス」だが、その乗合バスが衰退すれば、運転免許証返納の促進の阻害要因となる可能性がある。

 大都市のように公共交通手段が多いところは路線バスの必要性は低いが、公共交通手段の発達していない地方では、マイカーを除けば、最も身近な公共交通手段は乗合バスだ。つまり、公共交通手段が少なくマイカー需要が大きい地方は、高齢者の運転免許証返納が進みづらいにもかかわらず、地方でマイカーの代替手段となる乗合バスが衰退していることが、免許返納が進まない要因をつくり出すという負のスパイラルを発生させてしまう。

 地方での乗合バスの弱体化をカバーするため、地方自治体ではコミュニティバスの導入が進んでいる。国土交通省によると、全国で約6割の地方自治体がコミュニティバスを運行している。このコミュニティバス利用者の15%程度が運転免許証を返納した高齢者だという統計も出ている。だが、コミュニティバスの運行は地方自治体の財政に悪影響を与えることにもなり、すべてを賄うのは困難だ。

 高齢ドライバーによる交通事故防止を促進するためにも、今、公共交通機関としての乗合バスの活性化策を早急に検討する必要がある。

(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

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