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ゴーン海外逃亡、空港の保安検査“穴だらけ”の呆れた実態…過酷な労働環境で職員疲弊

文=編集部
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カルロス・ゴーン被告(AFP/アフロ)

 空前の逃亡劇に世界中の注目が集まっている。前日産自動車会長、カルロス・ゴーン被告(65)がレバノンに逃亡した事件。年末から年明けにかけて、どのようにゴーン被告が逃亡したのか、その手法についてさまざまな報道がなされた。産経新聞インターネット版は5日、「関空、荷物エックス線検査せず ゴーン被告逃亡」と報道。「被告が出国に使ったとみられるプライベートジェット機に持ち込まれた荷物が、関西国際空港でエックス線検査を受けていないことが5日、関係者への取材で分かった」としている。出国した空港は関西国際空港だが、ここで疑問なのが、なぜ空港の保安検査員はゴーン被告の逃亡を見逃してしまったのかという点だ。

「成田空港、保安検査員大量離職」

 今から3年前の2017年2月9日、テレビ番組『NHK首都圏ネットワーク』で放送された「成田空港の保安検査員 大量離職の背景は」と題した特集で、離職者が相次ぐ空港の保安検査現場の厳しい環境が報道されていた。

 番組では保安検査職員に密着。不規則な勤務に月給が手取り15万円であることなど、厳しい労働環境を伝えている。昇給など労働条件の改善が難しい業界特有の事情を解説している。

 出入国時の荷物検査など、保安検査は国が行うものではなく、各航空会社の責任で行うことが航空法86条で定められている。航空会社には保安検査を行うノウハウや人員はないので、警備会社に委託することになる。そして、保安検査場は各航空会社が共同で使っているため、複数の航空会社が委託料を分割負担して支払うシステムになっている。仮に、警備会社が検査員の給料を上げるために委託料の値上げを打診しても、委託しているすべての航空会社の同意を得なければならない仕組みになっているという。

疲弊する保安検査場

 成田空港などの保安検査を請け負う警備会社大手セノンの元社員は次のように語る。

「今回のゴーン被告の逃亡事件の報道を見て、ああ、ついにやってしまったなと思いました。昨年は伊丹空港などで、保安検査のミスで、乗客がカッターナイフを機内に持ち込んでしまった事件が話題になりました。訪日外国人の急増、格安航空会社の増加などで、成田のみならず各国際空港は人員不足で、保安検査場は正直疲弊しきっています。うちの会社は元自衛官が在籍し、タフで注意深い職員も多いですがそれでもキツイ仕事です。

 一部報道では、ゴーン被告はアンプやスピーカーなど音響機器用の機材箱に隠れていたという指摘があるようですが、正直、エックス線検査機に入らない箱なら、もはや検査場はお手上げです。注意深い検査員なら、箱を開けて中身を確認したかもしれませんが、相当重量があるものでしょうし、中身を外に出して確認というわけにはいかないでしょう。

 開けてもそれらしい機器が見られれば、OKを出すでしょう。入国時であれば、細心の注意を払うかもしれませんが、出国となると話は別です。日本は比較的厳しいほうですが、米国などでも『出ていく者(物)は追わず』という不文律があり、やはり甘くなりがちです。いずれにせよ、東京五輪前になんらかの対策が必要になるでしょうね」

 今回の手口が、他国の情報機関や犯罪組織が物や人を運ぶ際に使われていた可能性もある。また逃亡の足跡にも気になる点は多い。ゴーン被告は自宅から出て、どこで問題の「箱」に入ったのか。空港で入ったとは考えにくく、どこかで偽装工作をしたうえで逃亡した可能性が高い。いずれにせよ、世紀の逃亡劇の波紋は当面収まりそうにない。

(文=編集部)

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