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神戸山口組の二次団体が解散か?特定抗争指定で始まる「静かなる攻防戦」

文=沖田臥竜/作家
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山口組総本部に特定抗争指定暴力団の張り紙を貼る警察官

 去年暮れから、神戸山口組のある二次団体が、六代目山口組傘下の武闘派団体に移籍するのではないかと囁かれていた。筆者も関係者らに取材を進めると、実際にその方向で話が進んでいたことが確認できたが、ここにきて、事態は急転直下し、同二次団体は、現在、解散の意向を示しているというのである。

「その組織は、かつて六代目山口組から除籍となった直系組織の系譜を継いでおり、分裂後に神戸山口組に加入、その後、トップとナンバー2が神戸山口組の直参となっていました。それがここにきて、トップが引退し、残った組員を取りまとめる形でナンバー2の幹部が、六代目山口組の二次団体に加入するのではないかと囁かれていたのです。現にその調整も進められていたという話ですが、急展開を見せて、当局に組織の解散届を提出する意向を示したといわれています」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 だが、警察当局に解散届は受理されなかったというのだ。その理由をある業界関係者はこのように話す。

「去年暮れに、警察署に解散届を提出しようとしたという話を聞いた。だが、その組織の拠点が、提出しようとした警察署の所轄でないことなど書類になんらかの不備があって、今年に入り、組織の拠点がある地域を管轄する本部にあらためて解散届を持っていったという話だ。だが、その際にも書類に不備があったようで、受理されなかったと聞いている。いずれにせよ、解散の意向を示しているのは間違いないようだ」

  以前ならば、こうした解散や移籍などにかかわる複雑な噂を確かめる場合、その組のトップや幹部らが執行部の会合などに出席しているか否かで確認することができた。だが現在は、関連事務所が使用制限をかけられ、そうした会合が実施しにくくなっているため、噂の真偽を判断できなくなっている。ただ、水面下では組員の移籍などが相次いでいるようだ。

「先月に突如解散した神戸山口組の二次団体、太田興業の幹部が任侠山口組に舎弟として移籍していますし、また別の太田興業の幹部は神戸山口組の池田組へと移籍しました。抗争の激化や当局の取り締まり強化により、各組織をめぐる状況が不安定ななか、分裂抗争に終止符が打たれない限り、移籍は今後も続くのではないでしょうか」(報道関係者)

  そうしたなかで迎えた1月7日、ついに六代目山口組と神戸山口組が特定抗争指定暴力団に指定されたのである。

「警戒区域となった6府県に位置する両団体の関係先には、特定抗争指定暴力団となったことを告げる紙が、7日の午前中に捜査員によって貼られていきました。六代目山口組の総本部には、詰めかける報道関係者を前に、午前10時30分からそうした作業が進められました。正面玄関は木製となっているために剥がれやすいと判断されたのか、敷地内となる石畳の上に黄色い紙が貼られています」(地元記者)

  これによって、両団体への取締りが今後より一層厳しくなるのだが、それについてある業界関係者はこんな危惧を漏らす。

「特定抗争指定による規定違反での逮捕の前例がないだけに、組織側も何をしたら逮捕されるのか判断できない。例えば報道などでは、警戒区域内でおおむね5人以上集まってはいけないと報じられているが、条文を読む限りは『多数で集合すること』としか書かれていない。それだけに、4人までなら大丈夫だと判断しても、当局のさじ加減で逮捕される可能性もあるのではないか。当面は、どのような事例が摘発につながるのかなどの推移を見守りながら、組織防衛を行っていくしかないだろう」

 実際、取り締まり開始後、某組織の幹部ら3人の組員が、大阪ミナミの飲食店に居合わせたところ、警察サイドから任意同行を求められて、厳重注意されたようだという情報も業界内ですでに拡散されている。やはり、条文の人数をどう解釈するかは当局次第で、極端な話、2人であれば逮捕される可能性はないなどとも断定できない状況のようだ。

 いずれにしても、分裂状態は今もなお続いており、指定された六代目山口組、神戸山口組ともに、当局の動向をこれまで以上に警戒しながら、相対する組織との攻防戦に入ったといえるだろう。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新刊は、元山口組顧問弁護士・山之内幸夫氏との共著『山口組の「光と影」』(サイゾー)。

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