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トヨタ、“全方位で他社提携”戦略へ転換…EVでも世界一へ、なりふり構わず“勝ち”に固執

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 自動車の電動化に加え、インターネット空間との接続や自動運転技術の実用化などによって、自動車の役割は大きく変わる。端的にいえば、自動車は“移動の手段”に加え、人工知能や高性能の半導体やセンサーなどを多数搭載した“移動型IoTデバイス”としての性格も持つようになるだろう。

 EV化によって、自動車は5万点にも及ぶ部品などのすり合わせを重視したものから、バッテリー、車体などのパーツごとの組み立てにシフトしていく。また、IoT関連の分野において自動車企業は世界のIT先端企業やエレクトロニクス企業とも競合しなければならない。5G通信の普及などに伴って世界経済の変化のスピードも加速化している。

 急速かつ大きな環境の変化に対応するために、トヨタは経営体力をつけなければならない。そのために同社はスズキ、スバル、マツダと資本提携などを結び、協働体制を強化している。中国においてトヨタは燃料電池車(FCV)などの開発に向けて第一汽車集団や広州汽車集団との提携も結んだ。中国政府はEVに加えFCVの普及も重視しているだけに、こうした取り組みはトヨタが生産効率を高め、中長期的な収益の基盤を強化するために欠かせない。

 IT分野でもトヨタはアライアンスを強化している。すでに米グーグルは自動運転の分野でトヨタよりも高い競争力を有しているとみられる。トヨタは競争力を高めるためにソフトバンクなどと自動運転技術の開発に取り組んでいる。見方を変えれば、トヨタは“ハード(自動車)”と“ソフト(自動運転などのソフトウェア)”の両分野において競争力を高めようと必死に取り組んでいる。

世界経済の先行きには不透明感も

 自動車業界は、競争激化に加え、世界経済の不確定要素の増大にも直面している。各社は米中の貿易摩擦などに影響された世界的なサプライチェーンの混乱に対応しなければならない。今後もIT先端分野における米中摩擦は続く可能性がある。また、世界経済を支えてきた米国経済も、いずれピークをつけ減速が一段と鮮明化するだろう。債務問題の深刻化などから中国経済が安定感を取り戻し、その状況が続く展開も想定しづらい。

 その状況下、トヨタのライバル企業は思い切った取り組みを進めている。そのひとつに、新技術の開発力の強化がある。20年からの5年間で、独フォルクスワーゲンはEV開発力の強化などに総額600億ユーロ(約7.2兆円)を投じる計画だ。フォルクスワーゲンはディーゼル排ガス不正問題の負の印象を払拭するために、EV事業に生き残りをかけている。

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