いきなり!ステーキ、大量一斉閉店ぐらいでは客離れは止まらない“深刻かつ根本的な”問題

 浜松三島店の近くにはペッパーフードサービスが別に展開するステーキ店 「ペッパーランチ」2店も存在する。さらに、車で30分のところにイオンモール浜松志都呂店(静岡県浜 松市)とイオンモール浜松市野店(同)がある。浜松三島店はこの2店とも多少の競合があったとも考えられる。

 ただ、この2店との競合はそれほど大きな影響ではないだろう。どちらも商業施設「イオンモール」内にある店舗で家族客がメインターゲットとなるが、郊外ロードサイドに立地し、家族客が手薄な浜松三島店とは客層が異なるためだ。同店を閉店するのは、浜松有玉店と浜松湖東町店との競合を解消することが主目的だろう。

自社競合以外の要因

 一方で、自社競合の影響は小さそうな店舗の閉店もある。たとえば、20年1月13日に閉店するフレスポ大洲店がそうだ。同店に1番近い自社のステーキ店は、車で40分のところにあるペッパーランチ92s-クニズ-エミフルMASAKI店(愛媛県伊予郡)となるが、この2店はある程度距離が離れているし、どちらも別々の商業施設内に入居しているので住み分けができていると考えられる。自社競合の度合いは低いだろう。フレスポ大洲店が閉店するのは、入居している商業施設内のほかの外食店との競争に敗れたためと考えられる。

 同じく20年1月13日に閉店する秋田横手店も、自社競合が主な閉店理由とは考えにくい。同店に1番近い自社のステーキ店は、車で30分のところにある商業施設内のペッパーランチイオンモール大曲店(秋田県大仙市)となるが、家族客が手薄ないきなりステーキの秋田横手店とは客層が異なるため、自社競合はそれほど大きくないだろう。

 都心部の店舗で閉鎖するところもある。たとえば、虎ノ門店がそうだ。同店は自社競合を解消するために閉店すると思われるが、浜松三島店のケースとは意味合いが異なるだろう。

 虎ノ門店の近くにある店舗として、徒歩20分のところに新橋日比谷口店(東京都港区)があるが、新橋日比谷口店がオープンしたのは17年8月と18年の大量出店より少し前だ。ほかに、徒歩20分のところに14年8月にオープンし20年1月13日に閉店する新橋店(同)、徒歩30分のところに14年2月にオープンし20年1月13日に閉店する銀座六丁目店(同)があるが、いずれも18年よりも前から存在する店舗だ。18年以降に出店した店舗で虎ノ門店と大きく自社競合する店舗は見当たらない。

 つまり、虎ノ門店は時間の経過とともに競争力が低下し収益性が低下したので、閉店せざるを得なくなったと考えられる。自社競合と競争力の低下は表裏一体の関係で、競争力が低 下したことで、これまで問題にならなかった自社競合が問題化してきたにすぎないのではないか。つまり、自社競合は副次的な問題といえるだろう。

 いきなりステーキの競争力が低下したのは、値上げにより割高感が出てきたことが大きい。コスパが悪くなり、客離れが起きたのではないか。そのため、自社競合の解消は必要だが、それだけでは不十分だ。値下げや肉の品質向上でコスパを良くするなど、競争力を高める必要がありそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

編集部イチオシ企画
Pick Up News

RANKING

企業・業界

ビジネス

総合

SNS