日立製作所、鮮やかかつ理想的な「選択と集中」断行…富士フイルムとウィン・ウィン取引達成

 日立は事業の選択と集中を進めている。資産の売却や買収を通して、経営資源をAIやIoT(モノのインターネット化)関連の分野に再配分したい。選択と集中を進めるために、日立はこれまで主要子会社の経営陣に対してIT化に対応する戦略を練るよう指示を出してきた。日立は、売却対象事業の安定も視野に入れ、選択と集中を進めているといえる。そのためにも事業の売却先との利害の一致は重要だ。

 この点は昭和電工に対する日立化成の売却を確認するとよくわかるだろう。当初、複数の企業が日立化成の買収に関心を示した。いくつかの企業は、日立化成の高機能素材事業の取得を目指し、他を売却する考えを持っていた。そうした考えは、企業が経営の効率性を高めるために重要だ。この考えに基づき、国内外において必要な事業だけを買収する企業も多い。企業全体を買収する場合であっても、収益力が高い事業を残し、他の事業は再度、他の企業などに売却するケースもある。

 日立はそうした意向に難色を示した。子会社を売却した後、その企業の事業が切り売りされるような展開が現実のものとなれば、日立の経営陣が子会社に指示してきた取り組みは実現できなくなる恐れがある。日立にとって昭和電工は、自社の要望を最大限にくみ取り、可能な限り利害の一致を目指すことのできる企業だったのだろう。

 また、売却の上にさらなる売却が想定される場合、日立の子会社などにおいて先行きへの不安心理が広がる可能性もある。日立が“不沈戦艦”と呼ばれるほど安定した経営風土を重視してきたことを考えると、そうした懸念は選択と集中を進める阻害要因になる恐れもある。日立にとっても富士フイルムとウィン・ウィンの取引が実現できたことの意義は大きいだろう。

重要な変化への対応力

 現在、世界経済はこれまでに経験したことがないようなスピードと規模感をもって変化している。そのなかで、富士フイルムは世界的なヘルスケア企業になることを目指している。同社に求められることは体力をつけ、さらなる成長を実現することだ。

 具体的に、他企業との提携や事業の取得を進める重要性は高まる。世界的な大手企業であっても、急激な変化に対応することは容易ではない。リーマンショックの発生により、米GEは金融事業において巨額損失が発生し、業績が大きく悪化した。業績悪化からGEは世界的なIoTの流れに対応することが難しくなり、今後の稼ぎ頭となる事業を育成することが難しいようだ。この結果、GEは事業を切り売りして財務内容を立て直さざるを得なくなっている。GEはバイオ医薬事業の売却も決定した。

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