杉江弘「機長の目」

航空機、パイロット1人制検討、極めて危険…パイロット無視の超ハイテク化で墜落事故多発

 アメリカでは上下院の公聴会が開かれて、2018年10月のインドネシアでのライオン航空機事故と2019年3月のエチオピア航空機事故をめぐって真相究明と責任の追及が行われている。そのなかで、これまで出席を拒んできたボーイングのデニス・ミューレンバーグ最高責任者(CEO)は2019年10月29日に開催された上院の公聴会に出席し、両事故について初めて「我々が間違いを起こした」と責任を認めて謝罪した。

 そして驚くべきことに、同社のテストパイロットが2016年時点で安全性の問題(事故の原因となった失速回避システム<MCAS>等)を指摘したことにも質問が集中した、メディアの報道によると、テストパイロットからの指摘に対して、上層部が圧力をかけて封印したといわれている。

 現代のハイテク機は、パイロットではなく技術者たちがコンピュータを駆使して斬新に見える自動化システムを中心にして設計しているのが実情だ。メーカーのテストパイロットが完成した機材に試乗し、特に大きな問題がなければ量産化が進む。仮に今回の737MAXのように安全性に疑問が提示されても、設計変更をするには莫大な金と時間が必要となり、事実上パイロットの意見は無視されることも発生する。その結果、航空会社のパイロットは自分が操縦する機材に実は不完全なシステムやロジックが潜んでいても、それを知らずに多くの乗客を運ぶことになる。

 1994年に名古屋で起きた中華航空機の墜落事故でも、パイロットは自動操縦システムのゴーアラウンドモードの仕組みを知らなかったことが原因であった。それはたまたま事故機の2人のパイロットが知らなかったのではなく、世界の多くのエアバスA300・600型に乗務するパイロットもよく理解していなかった。

 前述の737MAXの2件の事故では、新しく導入されたMCASと呼ばれる自動制御システムが、センサーから送られた誤った情報をもとに急激な機首下げを起こしたのが原因だと判明している。機体後部の水平安定板(スタビライザー)が一方的にランナウェーと呼ばれる連続的な動きをしたためであるが、このようなことは何も離着陸時だけではなく巡航中などでも起こり得るものである。

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