NEW
ヘルス・ライフ

進学校中退や自殺に至る例も…無意識の「教育虐待」で我が子の将来を不幸にする親たち

文=真島加代/清談社
【この記事のキーワード】

, , ,

「あなたのため」「選択肢を増やしたい」…

 おおた氏の著書には、両親からの過剰なプレッシャーを感じながら有名進学校の中高一貫校に進学するも、母の過干渉に耐えきれずに家を飛び出して退学した男性や、母の過干渉から抜け出せないままうつ病を発症し、自ら命を絶った女性のエピソードも記されている。

 家庭によってケースはさまざまだが、すべてに共通するのは「あなた(子ども)のため」という親の独善的な考え方だ。親たちは、子どもを思うあまり「子どもは未熟で判断力が不足しているから、すべて親が決める」「あなたのためを思って、今私は鬼になっている」と本気で思っている、とおおた氏は指摘する。

「しかし、それが子どもの心に消えない傷を残し、まるで呪いのように子どもの人生を支配してしまうのです。『あなたのため』という言葉は、裏を返すと『あなたはわかっていない』ことが前提のセリフです。頭ごなしに子どもを否定し、“ありのままの子ども”を見る目が弱いのです」(同)

「あなたのため」以外にも、教育虐待に陥ってしまう親には「いい教育を与える」「選択肢を増やしたい」など、特徴的な口癖があるという。

「『いい教育を与える』は教育は親から子に与えるものという思い込みがあり、子どもが主体になっていません。子どもの成績は親次第、という考えから、厳しい教育をしてしまうのも同様です。もうひとつの『選択肢を増やしたい』は、“最低○○大学以上の学校に行かせたい”など、勝手に境界線を引いて勉強を強制します。いい大学に行っても選択肢は増えません。多様な生き方を知らず、理解していない発言です」(同)

 彼らの口癖は、裏を読めば、どれも子どもの声や特性と向き合っていないことがわかるが、周囲には子どもを尊重している印象を与える。さらに、彼らは“いい親”でいるために子どもの食事や身なりも整えることも多いので、虐待の発覚が難しいのも特徴だ。

 周囲が気づけない分、家族の対応が子どもを救うカギとなる。もし、パートナーが我が子に教育虐待をしている場面に遭遇した場合は、どのような行動を取るべきだろうか。

「言葉による暴力で勉強を強制するなど、本格的な教育虐待が継続して行われているなら、即効性のある対策を取るのはなかなか困難です。その点は、一般的な虐待と同じだと思います。なので『虐待は人権侵害なので、いくら親子であっても許されない』という立場に立ち、パートナーと対決することも必要です。それによって離婚に至るケースもありますが、夫婦仲を優先して子どもの人権を犠牲にするのは絶対にしてはならないことです」(同)

 子どもが負った心の傷の深さを想像し、「強い態度で臨んでほしい」とおおた氏は強く訴える。

『ルポ教育虐待 毒親と追いつめられる⼦どもたち』 「教育虐待」とは、「あなたのため」という大義名分のもとに親が子に行ういきすぎた「しつけ」や「教育」のこと。どこまでの厳しさは許されてどこからが教育虐待なのか、教育虐待を受けて育つとどうなるのか……。気鋭の教育ジャーナリストが壮絶な現場に迫りその闇を照らす「救済の書」。 amazon_associate_logo.jpg

関連記事