NEW
鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

自動車保険、対物賠償を無制限にせず賠償金2億円?保険会社が交渉してくれない事故?

文=鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表
【この記事のキーワード】, ,

Q6:加害者の車が企業保険に加入している場合と個人保険に加入している場合では、被害者への補償額は違ってくる?

 一般の方が抱く疑問で多いのが、「加害者が個人より企業(事業者)のほうが、多く補償してもらえるのでは?」ということです。

「被害者の方の年齢や収入などによって逸失利益(本来得られるべき利益であるにもかかわらず、債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益)の認定額が異なってくるため、被害者の方にお支払いする保険金の額はそれぞれ異なります。一般的に自動車保険の特約には、事業者向けのみ付帯可能なもの、個人向けのみ付帯可能なものはありますが、個人と事業者で被害者への賠償額に差が出ることはありません」(大手損保広報担当者)

「賠償」とは「損害を補償する」という性質上、加害者が個人であろうが企業であろうが、認定された補償額以上は受け取れません。にもかかわらず、たとえば企業のトラックが起こした事故で被害に遭われた方が、「事業者が起こした事故だから、加害者が個人の場合より多く保険金を受け取ったらしい」という風評被害で悩んでいらっしゃる方もいます。

Q8 事故が原因で、うつ病などの精神疾患を患ってしまいました。自動車保険から補償してもらえないのですか?

 自動車事故で、人に関する補償は身体のケガだけが対象だと思っていらっしゃる方が多いですが、実際のところはどうなのでしょうか。

「身体的なケガだけでなく、精神疾患も補償の対象にはなります。ただし、事故で精神疾患を発症された場合、専門医の所見を元に、事故との因果関係を慎重に判断することにはなります。因果関係が認められ、休業したり、退職したりとすると、逸失利益に反映されます。また被害者の方が人身傷害保険に加入していると、『後遺障害』ではなく『傷害』として補償します。同じ事故であっても、被害状況が違えば、被害者の方の賠償額は一人ずつ違ってきますし、支払い時期も当然異なります」(大手損保広報担当者)

 因果関係が認定されれば、事故の原因による精神疾患も補償の対象になる場合もあることは、覚えておきたいですね。

Q9:自動車事故でも、保険会社が交渉しない事故もあるって本当ですか?

「通常は事故が発生したら、保険会社同士で話し合います。一方で、示談交渉ができないケースもあります。たとえば、信号待ちで停車中に追突される、自宅の塀に車がぶつかって塀を壊された、信号が青になり横断歩道を歩行中に車が信号を無視してぶつかってきた等、補償を受けられる方に責任がまったくない“もらい事故”です。この場合、保険会社が示談交渉することはできませんので、被害者ご自身で交渉していただくことになります。損保協会のデータでは、もらい事故は自動車保険の賠償事故のうち約3件に1件の割合で発生し、全国で年間約200万人の方がもらい事故にあっていると推計されます」(大手損保広報担当者)

RANKING

17:30更新
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合