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AIに仕事を奪われない「1万人に1人のスキル」を身につける簡単な方法

文=中原圭介/経営コンサルタント、経済アナリスト
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「gettyimages」より

 商品やサービスの多様化が進んだ未来では、専門性の高いスキルが欠かせません。その際、有効なのが「1000人に1人」「1万人に1人」の価値を獲得することですが、果たしてそんなことが可能なのでしょうか?

「1000人に1人の逸材」になる方法

 新しい技術が広まる10年後の世界では、個人が会社に所属していようが所属していまいが、大半の仕事はわざわざ会社に出勤して行う必要がなくなっていきます。高いスキルや知識を持っている人にとっては、組織に所属しているか否かにかかわらず、新しいプロジェクトが立ち上がるたびに、そのなかで役割を分担するケースが増えていくでしょう。

 言い換えれば、さまざまなビジネスを股にかけるような働き方が、将来的には多数派になっていくわけです。実際、シリコンバレーなどでの新型自動車の開発プロジェクトでは、そのプロジェクトのために世界から選りすぐった高スキルな人材集団が世界に散らばる個々のオフィスから参加しています。

 クラウドなどのIT環境でつながって開発を行っているので、同じ場所に集まるということはほとんどありません。かつては会社といった組織の中でしか遂行できなかった仕事が、今や世界から専門性の高い人材を集めることで達成できるようになっているわけです。

 変化が遅いといわれる日本でも、10年後にはこのような形態のプロジェクトが広まっているのは間違いありません。ひとつの商品やサービスを開発する上で、エンジニアはアメリカ人と中国人、デザイナーはフランス人、マーケティングは日本人、セールスはオーストラリア人といった具合に、世界中から人材を集めることが当たり前になっていきます。

 商品やサービスの多様化がいっそう進む未来では、一人ひとりの個性やアイデアの価値がますます高まっていかざるを得ないからです。世界で話題になるようなプロジェクトのメンバーに選ばれるためには、非常に専門性の高いスキルを持っていなければなりません。

 たとえば、シリコンバレーや深圳などの大型プロジェクトに参加できるようになるためには、専門性をひとつのスキルだけで判断するならば、1000人に1人や2000人に1人といったレベルに達していないと難しいでしょう。

 こういった現実的なストーリーを前段だけでも聞くと、大多数の人が「そんなレベルに達する自信がない」とあきらめてしまうのではないでしょうか。

 しかしながら、個人の価値を飛躍的に高める方法というのは、何もひとつの専門性を極めるだけということではありません。極めるというレベルにまで達していなくとも、個人が複数のスキルを持つことで1000人に1人、さらに1万人に1人の価値を獲得することは、みなさんが思っているほど難易度が高くはないのです。

 少なくとも現時点では、スキルを3つも持っていれば、その相乗効果も相まって個人の価値は相当に引き上げられるはずです。というのも、個人の価値はスキルの数の「足し算」ではなく、「掛け算」で決まるからです。

 たとえば、専門的なスキルAを1000人に1人や2000人に1人のレベルにまで磨くには気後れしてしまうかもしれませんが、10人に1人のレベルにまで高めるのは比較的容易なことです。

 続いて、スキルBとスキルCを同じように10人に1人のレベルにまで高めることができれば、1000人に1人の逸材になることができるのです。9年のプランで考えれば、3年で10人に1人、6年で100人に1人、9年で1000人に1人と、段階的に価値を高めることができるというわけです。

 そこへ持ってきて、このうちスキルCが自分の大好きな趣味などと重なっていれば、10人に1人とはいわず100人に1人のレベルに達するのは十分に可能です。

 そうなれば、1000人に1人の人材から1万人に1人の人材に価値がアップすることになります。いずれにしても、スキルの数が増えるほど、人材としての希少性が高まっていくのは間違いありません。

 その結果として、個人の働き方の選択肢が群を抜いて増えていくのに加えて、生き方の自由度が桁外れに広がっていくことになるでしょう(下図参照)。

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1000人に1人の人間になるプロセス

AIに仕事を奪われない人間の強み

 個人の価値が専門性やスキルの足し算ではなく、掛け算で高まっていくという事例として、私の実体験から申し上げると、私は経営アドバイザーとして数々の大手企業でアドバイスをしてきた一方、経済アナリストとして多くのメディア媒体で分析を取り上げられてきました。

 企業活動と経済動向は複雑にからみ合っているので、2つの分野を切り離して考えるのは現実的に不可能であるという考えを持っているからです。経営アドバイザーと名乗っているのは、経済アナリストとしての知見が入っているので、世間一般でいわれる経営コンサルタントとは明確に違うという意識が働いているためです。

 本来であれば、経営コンサルタントと経済アナリストの間には職種の垣根があり、その仕事の内容には明確に棲み分けがなされています。経営コンサルタントの仕事とは、企業などの経営についてアドバイスをする専門職であるのに対して、経済アナリストの主たる仕事とは、メディアやシンクタンクなどで自らの経済分析を述べることを生業としているからです。

 しかしながら、私はもともと「経営と経済は一体である」はずだと、この仕事を始める前から確信に近いものを持っていました。ですから、経営アドバイザーとして企業にアドバイスをするときには、経済アナリストとしてのスキルと併せてアドバイスをするようにしていますし、経済アナリストとして経済の実態を分析するときには、企業経営の現場の視点を分析に取り入れるようにしています。

 今のグローバル経済は、デジタル経済が追い打ちをかけることによって経済やビジネスのサイクルが非常に短くなり、変化が激しくなってきています。20世紀には20~30年かけて起きていた大きなビジネスの変化が、昨今では5年くらいの間隔で起こってしまっているのです。

 そのような環境のもとでは、「経営」や「経済」といった狭いジャンルの専門性だけで物事を考えるのではなく、それぞれのジャンルの専門性を組み合わせた上で、総合的に判断する力を身につけていく重要性が増していると思っています。

 おそらく、経営アドバイザーと経済アナリストの2つの仕事を融合させているのは、私のほかの専門家とは差別化された強みのひとつではないかと自己分析をしています。その帰結として、ビジネスにおいても経済においても、精度の高い助言と分析が可能となっていくというわけです。

 幸いなことに、経営アドバイザーとしては、世界的に事業を展開している巨大企業や誰もが名前を知っている国内大手企業からご依頼をいただいてきましたし(多くの場合、秘密保持契約があるので企業名は言えませんが)、経済アナリストとしては、メディアなどからありがたい評価をいただき、お引き受けできないほどの連載や書籍のご依頼をいただいております。

 今でこそご存じの方が多くなってきましたが、経営アドバイザーや経済アナリストという仕事の内容から判断して、私が大学では経営学や経済学を専攻していたという先入観を持っている方がいまだにいるようです。

 そういうわけで、実は歴史学を専攻していたと申し上げますと、「どこで経営や経済の勉強をしたのか?」「どうして、そのような発想やアイデアが浮かぶのか?」と質問をされることも、かつては珍しくはありませんでした。

 私が経営や経済に深くかかわる仕事を今でも順調にこなすことができているのは、歴史学的なアプローチを中心として、さまざまな学問の知識も組み合わせながら考えを導き出しているからだと考えています。

 ひょっとしたらうぬぼれた分析ではないかと捉えられてしまうかもしれませんが、一見すると関係のない複数の専門性やスキルが相乗効果を導き出し、頭の中で融合や化学反応が起こっているのだろうと確信しています。

 人間がAIに仕事を奪われない強みは、まさにそこにあるのではないかと思っている次第です。

(文=中原圭介/経営コンサルタント、経済アナリスト)

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