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東京MX、BPO審査対象に該当…出演者から146万円“徴収”、ゲーム企画の賞品渡さず

文=編集部、協力=山岸純/山岸純法律事務所・弁護士
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 ここで、「146万円を払えばテレビに出演できる」という“うたい文句”でホストを集めて番組を制作していたのであれば、ホストにとって実際に「146万円を払ってテレビに出演できた」以上、どこにも「騙された」ということはありません。

 では、「 146万円を払えばテレビに出演できるし、さらに番組内のゲームで優勝すればランボルギーニがもらえる」という“うたい文句”でホストを集めていた場合ですが、この場合、「ランボルギーニ」は言わば「おとり」です。ここで、ホストが「優勝してもランボルギーニがもらえないことを最初から知っていたなら 146万円を払ってまでテレビに出演することはなかった」というのであれば、「騙された」ということになります。

 もっとも、ゲームで優勝できるかどうかはやってみないとわからないわけですから、「もらえないとわかっていたら払わなかった」ということをホストが確実に認識していたと言い切ることはなかなか難しいでしょう。

 つまり、優勝できなかったなら、どっちにしてももらえなかったわけですから、「優勝できた場合は詐欺罪が成立し、優勝できなかったら成立しない」という不確定要素で犯罪の成立が変わってしまうというおかしなことになるからです。

 また、「146万円を払ってテレビに出演できて、うまく自分を宣伝できたのでそれで十分」という考えのホストもいるかもしれません。

 このように考えてくると、「ランボルギーニがもらえること」が「146万円を払う動機」となったのか、「テレビに出演できること」が「146万円を払う動機」となったかが詐欺罪の成否を分けることになるでしょう。

 要するに、ホストは何を求めていたのか、ということです。

 ちなみに、最近、興味深い事件がありました。いわゆるクレーンゲームで景品をとれないように設定していたゲームセンターの経営者が詐欺罪で起訴され懲役3年執行猶予4年の判決が言い渡された事件です。この事件では、「絶対に景品を取れない細工がしてあった」ことが立証されたため有罪となりました。

 この事件では、「景品をとること」がクレーンゲームの唯一の目的なわけですから(お金を払って景品がとれなくてもその時間が楽しければよい、などという人はいないでしょう)詐欺罪が成立するわけです。前述のように、「ランボルギーニがもらえること」だけが唯一の目的ではなかったのであれば、詐欺罪の成立はなかなか難しいでしょう。

 次に、「放送法12条」の問題を検討します。

 放送法12条は「放送事業者は、対価を得て広告放送を行う場合には、その放送を受信する者がその放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならない」と定めています。

 この趣旨は、本当は「商品やサービスの広告」なのに、有名な俳優がこれ見よがしに「ある商品」を使う短編ドラマをつくったり、出演者が「あるサービス」をほめちぎったりするようなバラエティ番組や報道番組なんかがつくられたりすると、視聴者は「今、世間ではこの商品・サービスが注目されているんだ」と勘違いしてしまうので、「この映像は、広告主にお金を払ってもらって、その商品・サービスを紹介しているだけの広告ですよ」と明らかにしなければならないというところにあります。

 今回、視聴者は「テレビに出演するくらいだから、きっと有名なホストなんだろう」と思います。

 しかし実際は「146万円を払ってテレビに出演した」のであり、そのための番組だったわけですから、この番組は「広告放送」です。放送法では12条に違反した場合の刑罰はありませんが、放送倫理・番組向上機構(BPO)の審査対象になる内容です。

 しっかりと真相を究明してほしいところです。

(文=編集部、協力=山岸純/山岸純法律事務所・弁護士)

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●山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

 時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。また弁護士法人ALG&Associates所属時代は、執行役員として同法人によせられる離婚相談、相続問題、刑事問題を取り扱う民事・刑事事業部長として後輩の指導・育成も行っていた。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。弁護士としては、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。

 

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