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野村直之「AIなんか怖くない!」

怖いのはAIではなく人間であることの証明…雑用レベル業務でもAIには駆逐されない

文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員
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許せないAI兵器

 では、遠隔操作の無人ドローンが、画像認識で人間を見つけるたびに大量殺戮するようになったらどうでしょうか。現実に、安価なベストセラー銃AK-47で有名なカラシニコフ社が、そのようなドローンを、格安で大人数を殺せると宣伝して世界に販売しています。しかも、その自爆ドローンに「カミカゼ」と名付け、日本人の神経を逆撫でしてくれています。

無人ドローンによるソレイマニ司令官の殺害

 2020年の新春、ツイッターには、#WW3など、第三次世界大戦を表すハッシュタグが溢れました。トランプ大統領が、「自衛のため」「戦争を止めるため」と称して、無人ドローンを飛ばし、イランの革命防衛隊司令官ソレイマニを殺害したからです。殺害された司令官の所属、革命防衛隊って、国家元首の親衛隊のようです。とすれば、戦前の日本などなら近衛兵。天皇陛下に忠実に仕えた近衛師団のトップを外国政府に殺害されたら、国民はどんな気持ちになったでしょうか? 

 こういう想像力を働かせると、イランの人々に同情の念を禁じ得ません。報復をエスカレートさせ、旧大日本帝国のように、負け戦とわかっていて戦争を起こすのではないかと危惧した人が #WW3 などを世界中で使い、懸念を表明しました。

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 これはソレイマニ司令官を殺害したとされる米国の軍事用無人ドローンです。この型以外にも多種多様な無人ドローンを米国は開発しています。AI搭載の完全自律型ドローンに、ターゲットを選ばせることもできるようです。AIの認識精度は 100%ではないので、誤爆で機械に殺される無実の人も将来は出てきてしまうことでしょう。『ドローン情報戦――アメリカ特殊部隊の無人機戦略最前線』(著:ブレット・ヴェリコヴィッチ/原書房)という翻訳書に詳細があるようです(筆者は未読)。

AIに意思決定させたほうがマシ?

 これまで米軍は、あり得ない極端な選択肢を混ぜ込んでおいて、軍の思惑通りの選択肢(たとえば今回なら「敵にプレッシャーを与えるため前線へ部隊を投入」など)を歴代大統領に選ばせてきたといいます。官僚主導だった昭和時代の日本でも政治家に対して同様のことが行われ、そこそこ賢い、穏当な政治決断に貢献してきたと思われます。

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23:30更新
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