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木下隆之「クルマ激辛定食」

乗り心地・世界一の車はアウディ「A6」かもしれない…乗らずに高級車を語るのは不可能

文=木下隆之/レーシングドライバー
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アウディ「A6アバント」

 日頃、最新のプレミアムモデルに触れていると、自動車メーカーの担当者から頻繁に聞かれる質問がある。

「最近で印象的だったクルマはなんですか」というものだ。意外なことに、自動車メーカーであっても、ライバルメーカーが発表する最新モデルをドライブする機会はあまりないようなのだ。もちろん、ターゲットとなるモデルを購入して試験することで性能評価したり、分解して構造を分析したり、そこから新技術を暴いたり、生産性を確認することはある。ライバルチェックには神経を尖られている。

 だが意外なことに、実際にテストドライバーがステアリングを握って操縦安定性を感じるチャンスは少ないのだ。ましてや、雨後の筍のごとく次々と生み出されるニューモデルをすべて購入して分析することなど不可能だ。世界的に話題になったモデルや、あからさまに新しい“世界初の技術”を搭載しているクルマならば、購入して比較試乗することもあるのだろうが、すべてではない。そんな事情もあって、前述の質問を受けることが多いのだ。

 だから、僕がこんな答えをすると、自動車メーカーの多くの関係者はキョトンと意表をつかれたような怪訝な表情になる。

「アウディ『A6』の乗り心地は、世界一かもしれませんよ。A6に触れずに、プレミアムモデルの評価はできません」

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 たいがい、その直後は無言になり、話は広がらない。というのも、ライバルメーカーの動向にアンテナを張っているのは間違いないのに、アウディ「A6」はノーマークなのだ。アウディのフラッグシップモデルの「A8」ならいざ知らず、レクサス「GS」やBMW「5シリーズ」、メルセデス「Eクラス」とライバル関係にあるA6は眼中にないからである。話がそこで途絶えることも少なくないのが、その証拠だ。

 だがA6は脅威的に、信じられないほど乗り心地が良い。僕がこれまで経験したモデルのなかで最高の乗り心地だと言っていいかもしれない。ちなみに、次点はアウディ「A8」である。

 今回は、あえて「A6アバント」を試乗してみた。すでにセダンは衝撃的な乗り心地であることを確認していた。そこで、ツーリングワゴンのレベルを確認しようと思ったからである。

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 それでも、自身の解答を修正する必要はなかった。リアに広大な荷室を備えるアバントならば、多少の乗り心地悪化には目を瞑ることができるはずなのに、あるいは乗り心地を犠牲にしてでも、クロスカントリー性を重視しても許されるはずなのに、乗り心地はまったく悪化していないのだ。悪化していないばかりか、世界のプレミアムフラッグシップのどのモデルよりも乗り心地が優しいのである。

 路面からの突き上げは皆無に等しい。走行中、目の前に現れたアスファルトの陥没が、スーッと消えてなくなる感覚はイリュージョンであるかのようだ。それでいて、ステアリングインフォメーションを失っていない。路面の陥没が消えてなくなるのに、路面の感覚は際立っているのだ。ただ単に、船のようにフワフワと漂うような乗り味ではなく、強固な骨格がベースにあり、腰下だけがしなやかに動くのである。

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 路面にビロードの絨毯を敷き詰めたかのような印象でありながら、路面に撒き散らした小さな石粒を踏みつぶす感覚は際立つ。まさにイリュージョンなのである。

 筆者が「A6に触れずに、プレミアムモデルの評価はできませんよ」と強く口にする理由はそこにある。加えて、世界一の乗り心地を1000万円前後の投資で味わえるのもイリュージョンに違いない。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

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