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阪神大震災の渦中で拾った猫のピーちゃんに、救われ続けた私の25年間…人間なら120歳

写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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拾った頃のピーちゃん

 だが人見知りが激しく工事の人たちが入ってくると怖がって姿を消してしまう。

「いくら探してもいないので逃げてしまったのかと心配したら、米櫃に潜んでいたんです」

 結局、震災から3年後に一家は垂水区の市営住宅に移った。一家の視線はいつもピーちゃんに向けられた。

「なぜかテレビの天気予報が大好きで天気予報になると、一生懸命に見るんです」

 少し緑内障があるそうだが目も濁っておらず、高齢とは思えない若々しさ。取材中に出された食事も、あっという間に完食してしまった。歯も強く今も固形状のキャットフードも平気。なかなか気は強く、炬燵に潜ったピーちゃんをからかうと「シャー」と歯をむき、パンチをしてくる。

「なぜかわからないけど今、一番甘えるのは私よりもかおりの高校生の娘なんですよ。膝の上におとなしくしています」

人間に対するように思いを寄せるみさ子さん

 みさ子さんは震災から約3年後に離婚し、垂水区に引っ越したが、元のマンションにはしばらく前夫が住んでいた。その後、ピーちゃんは、かおりさんが結婚して子どもたちと暮らすマンションにいた、隣人が管理人に通報したためにピーちゃんを飼っていることがばれてしまう。転々としたピーちゃんは最終的にみさ子さんのところに落ち着いた。

 再婚した夫も昨年5月に亡くなり、今はピーちゃんと暮らすが仕事は続けている。

「仕事から帰ると嬉しそうに出迎えてくれる。体調を壊したり、精神的にもしんどいこともありましたが、ピーちゃんには本当に癒されました。飼っていてよかった。まさかこんなに長生きするとは思わなかった」

 かおりさんも目を細める。

 偶然、筆者は現在、藤藪さん一家が震災当時に住んでいた場所と目と鼻の先に居を構え、石屋川沿いの綱敷天満神社で拾ったオスの兄弟猫と神戸市の譲渡犬(甲斐犬)を飼っているが、平時でも動物を飼うのは結構大変だ。ましてや大震災直後の避難生活では、どんなに大変だっただろう。

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11:30更新
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