NEW
稲田俊輔「外食のディテール」

餃子の王将の底力炸裂…「にんにくゼロ餃子」→人気商品「生姜餃子」への立身出世物語

文=稲田俊輔/飲食店プロデューサー、料理人、ナチュラルボーン食いしん坊
【この記事のキーワード】, ,

 そしてここにきて、生姜餃子に対するネットでの評価は、いつのまにかポジティブなものが完全に逆転、むしろネガティブな評価を探すほうが困難なほどです。「俺はあくまで生姜餃子の味が好きだから『生姜餃子』とオーダーしているのに、店員が『にんにくゼロですね』と復唱するのが許せない」なんていう愛が強すぎる投稿もあって、失礼ながら大笑いさせていただきました。

「生姜餃子」は現代のミラクルストーリー

 この現象、商品が時間をかけてゆっくりとファンを育てていったというだけでなく、王将自らがリニューアルと名称変更によって「これはもはや単なる代用品ではない」ということを力強く宣言したという点が最大のポイントだと思います。開発陣の喜びいかばかりかと思うと、感動的ですらある立身出世物語です。

 これはあくまで想像ですが、当初開発陣に与えられたミッションは、「にんにくを入れずに最良の代用品をつくれ」というものだったのではないでしょうか。開発陣はその要望に対して、ある意味オーバースペックともいえる素晴らしい商品を提示しました。そしてそれは時間はかかりましたが、徐々に想定以上の支持を獲得し、ついには従来の焼き餃子と並ぶ二大看板商品の一つとして全社を挙げてプッシュする商品に格上げされ、それがさらにファンの幅を広げる結果にもつながった、というストーリー。

 最初のミッションが最終的にこの段階に至る可能性を多少は想定していたのか? それは私にもわかりませんが、想定していたとしたら、それは凄まじいまでに卓越した「読み」ですし、そうではなくて一部の顧客の深く静かな支持を敏感にとらえての柔軟な方針転換だったとしても、それもまた実に優れたマーケティングだと思います。

 いずれにせよ、何かと後ろ向きなニュースの多い昨今の飲食業界において類い稀な、実に痛快なサクセスストーリーであることは間違いありません。

(文=稲田俊輔/飲食店プロデューサー、料理人、ナチュラルボーン食いしん坊)

情報提供はこちら

RANKING

23:30更新
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合