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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

電車の優先席に座る若者、“非常識”ではなく“骨盤の開閉に問題”が原因?

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
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足腰が弱る原因は「砂糖」

 もうひとつ重要なことは、優先席にどっかと座ってしまっている若者たちは、そうしたくてしているのではないということです。彼らの足腰が弱っているのは確かですが、それとは別に骨盤の開閉がうまくいっていないという事実があるのです。骨盤の開閉がうまくいかないと、立ったり座ったりという動作がスムーズにはいきません。億劫になってしまうのです。だから、あの若者たちは、悪気があって優先席に座っているのではなく、骨盤が閉まらないから立てないのです。

 骨盤の開閉というのは、基本的に不随意筋が行います。つまり不随意運動です。この不随意筋を鍛えるのは、スポーツでは無理です。なぜなら、スポーツは大半が随意運動によるものだからです。いくら随意筋を鍛えても、不随意筋は鍛えることができないのです。体を育てるため、体を鍛えるためには、不随意運動を教えなければならないわけですが、今の学校教育では、その点が決定的に欠如しています。

 さらに問題なのは、甘いものの食べすぎです。甘いものを食べると、骨盤は開く傾向に向かい、それが続くと閉まりにくくなります。今の子供たちも、大人たちも、甘いものに囲まれていると言っても過言ではありません。だから、骨盤を閉められなくなっているのです。

 加えて、かつての日本人は、生活の中で自然と骨盤の開閉の能力を鍛えられていたのですが、洋式の生活が定着してしまったため、骨盤の開閉能力が育たないまま、大人になってしまうのです。電車の優先席に座っている若者は、骨盤の開閉能力を失っているため、サッとは立てないのです。

 おやつに少量の、しかも良質な甘いものを食べることまでやめろと言うつもりはありませんが、考えなければならないのは、料理に砂糖を使うことです。料理教室などを開催している方には、重い責任があります。外食産業にも当然、同様の責任があります。料理に砂糖を使うのは、決してスタンダードではありません。むしろ下品なことだと認識すべきでしょう。甘いものの食べすぎをやめ、砂糖を使った料理をしなくなれば、優先席に座ったまま立てなくなってしまう若者の数が、いくらかでも減ることになるでしょう。食べるものは、私たちの生活の意外なところにまで、大きな影響を与えているのです。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

●南清貴(みなみ・きよたか)
フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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