韓国には4000店舗ほど美容整形外科があるといわれていますが、そのなかでも特に多いのが江南地区で、“美容整形通り”と呼ばれる通りを中心に800店舗ほどあります。そうした都市部の地下鉄には、美容整形の広告が所狭しと掲載されています。街中でも、整形手術を受けた直後とみられる女性の、顔に包帯をしてマスクをし、帽子を目深にかぶった姿がよく見受けられます。
また、韓国企業の人事担当者の34%は女性をルックスで優先採用しており、韓国人女性にとって整形は就職活動の一環ともいえるでしょう。しかし、中国メディアでも5、6年前から問題にされていますが、韓国で整形を受けたあとに、鼻が変形したり顔が崩れるなど、整形失敗の後遺症に苦しむ人が増えているようです。中国人の患者が少なくなってきたため、日本の若い女性をターゲットにして、メディアを使い呼び込んでいるのです。
“韓国整形美女”のように、整形して望んだ顔になれるのは少数で、整形に失敗して取り返しのつかない副作用や後遺症に苦しむ人が日本人でも相当数います。“安くて簡単で上手な整形”を受けられるというイメージで日本人の若い女性を取り込んでぼろ儲けしている韓国の美容外科クリニックですが、実際は悪徳なクリニックが多いのです」(苅部医師)
驚愕の失敗例
そんな韓国での手術に失敗し、苅部医師のクリックに駆け込む女性が後を絶たないという。
【失敗例】
韓国大手美容クリニックにてプロテーゼを挿入したが、2年半経過したころ、鼻の先端に発赤が認められて、受診した。すると、鼻の内部にプロテーゼが露出しているのが見つかり、即座に摘出術を行った。
失敗例を聞いただけでも身の毛もよだつ怖さだが、近年人気の“プチ整形”でもトラブルが相次ぐという。
「価格の安さに惹かれ、旅行ついでに気軽に整形手術を受ける女性が増えていますが、ヒアルロン酸は韓国製のものは非常に安いのですが、他国の製品と比べても持続時間が短く、異物反応が起きやすい傾向があります」(同)
施術後、時間がたってからトラブルが出ることも多く、苅部医師への相談件数も増える一方だという。美容整形を受ける前に、安全性や術後にトラブルが起きた場合の対応なども含めて、十分に検討すべきだろう。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)