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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

家を買うなら3月末までがトク!住宅ローン減税・給付金・優遇制度をフル活用する方法

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト
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「gettyimages」より

 消費税が10%に引き上げられて4カ月が過ぎた。その影響の見極めについてはまだ時間がかかりそうではあるが、消費落ち込み対策のほうは粛々と行われている。ひとつは、3歳未満の子どもを持つ家庭などが利用できる25%のプレミアム付き商品券、それからキャッシュレス決済・ポイント還元策だ。また、2019年10月からは幼児教育・保育の無償化もスタートしている。

 ポイント還元のほうはおおむね好調のようで、キャッシュレス決済自体は伸びているという。ただし、現金で買っていた金額がただキャッシュレスに置き換わっただけでは消費が増えたとは言えないだろう。

 内訳を見るとカード会社やコンビニ利用が中心のようで、どちらもポイント付与ではなく割引策をメインにしているだけに、「普段している買い物がいつもより安くなった」で終わってしまうと、次回の消費動機にはつながりにくいためだ。この施策によって消費額自体が落ち込まずに済んだ、あるいは伸びていたのかは今後の発表を待ちたい。

 さて、ほかにも増税対策はある。クルマは増税のタイミングで自動車税が軽減、また環境性能割が導入されたが、販売台数は落ち込んでいる。そして、もうひとつの大きい買い物といえば住宅だ。こちらは購入を後押しする手厚い支援策がアピールされたせいか、以前の増税時ほどの駆け込み購入は起きなかったと聞く。増税後に買うメリットのほうを選んだ人も多かったのだろうか。

 しかし、のんびり構えていてはいけない。もし支援策を利用したいと考えているなら、あまり時間がないからだ。住宅関連の対策は主に4つあるが、どれも現状では期限が設けてある。しかも、目前に迫っているものもあるのだ。

住宅ローン減税の恩恵を目いっぱい受ける方法

 増税対策の目玉は住宅ローン控除の3年延長だろう。年末のローン残高の1%相当額(最大400万円)が所得税・住民税から控除される制度で、従来は控除される期間は入居から10年間だった。しかし、19年10月1日~20年12月31日に入居した場合はその期間が延長され、入居から13年目まで使えることになる。ただし、11年以降は計算式が変わり、(1)従来通り年末ローン残高の1%(最大40万円)か、(2)建物の購入価格の2%を三等分した額の、いずれか少ないほうが控除額となる。

 先に書いたように、この制度を利用するには20年中の入居が必要になる。家は建てるにしろ買うにしろ、販売店に入って「これをください」というわけにはいかない。また、家族の状況や収入の見通し、子どものいる世帯なら学校問題など、さまざまな要因で決定するものだ。必ずしも今年中に買わなくてはと焦る必要はないが、具体的にマイホームをと考えているなら、時間はあるようであまりないのかもしれない。

「すまい給付金」も増税後に拡充されている。住宅ローン減税は税金を多く払っている=所得が高い人ほどメリットが大きくなる仕組みのため、所得が低い人でも負担軽減の恩恵が受けられるようにと創設された制度だ。そのため、所得が低い人ほどたくさんの給付額を受けられる構造になっている。

 そのため、対象になる人には所得制限があるが、増税対策として、その制限が引き上げられた。従来は510万円以下だったのが、775万円以下の人までが対象になる。給付額も最大30万円から50万円までアップ。ただし、これも期限があり、21年12月までに入居していなくてはいけない(新築・中古物件とも対象になるが、中古は消費税10%適用の住宅のみ)。なお、住宅の引き渡しを受けてから1年(当面は1年3カ月)以内に事務局に申請しないと給付を受けられないので注意を。

住宅関連の2つの優遇制度は3月末が期限

 期限が目前に迫っているものもある。ひとつは「次世代住宅ポイント制度」。一定の省エネ性や耐震性、バリアフリー性能等を有する住宅、または家事負担を軽減する設備等を入れての新築やリフォームを行う場合を対象に、ポイントが付与されるというもの。新築では最大35万円相当、リフォームは最大30万円相当のポイントが付与される。

 なお、若者・子育て世帯が中古住宅を購入してリフォームを行う(総額100万円以上)場合は10万ポイントがつく特例もあり。中古住宅リフォームで対象になる家事負担軽減設備には、ビルトイン食洗器、浴室乾燥機、宅配ボックスなどもあり、導入を考えているなら、ぜひ利用すべきだろう。

 ただし、ポイントはそのままで使えるわけではなく、商品などと交換する。実際に交換できるもののリストが、まだきちんと出ていないのが残念だ。とはいえ、この制度を利用するには20年3月31日までに着工や契約の締結をしなくてはならない。興味がある人はちょっと急いだほうがいい。

 同じく、3月末までの優遇制度がもうひとつ。父母や祖父母からお金を出してもらって、税率10%で住宅を取得した場合、贈与税が非課税になる制度(「住宅取得等のための資金に係る贈与税非課税措置」)が、やはり拡充されている。一般住宅なら、2500万円まで資金を出してもらっても贈与税がかからない。ただし、この非課税対象額にも段階があり、2500万円というのは3月までの金額だ。その後は21年3月までが1000万円、21年4~12月までが700万円(すべて一般住宅の場合)と下がっていく。

 非課税になる金額上限が下がっていくだけで制度自体は続くといえば続くが、お金をたくさん出してくれる親族がいるようならば、早めに利用したほうがより枠が大きいということだ。

キャッシュレスのポイント還元は6月まで

 あらためて見てみると、消費増税対策の期間は案外短いと感じる。住宅以外でも、プレミアム付き商品券は3月末までだし、キャッシュレス・ポイント還元事業も現状では6月までだ。住宅のような大きな買い物は購入計画をじっくり立てて買う人が多いとは思うが、ちょっと悩んでいるうちにすぐに期限がやってきそうではある。

 また、次世代住宅ポイント制度のように、何に交換できるのか全容がはっきりしないうちに期限ばかりが迫っているというのも困る。そもそも、このポイント制度が世間にあまり認知されていない気がするのだが。むろん、消費増税対策にも税金が充てられている。確保されている予算にも限りがあり、いつまでも続けるわけにはいかない事情もあるだろう。

 とはいえ、せっかくの支援策があまり使われないままひっそり終わってしまってはもったいない。住宅購入を考えているみなさんは、ぜひ期限に間に合うように有意義に使ってほしい。

(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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