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ハロプロ「ジャンプ禁止」で現場はどう変化?ファンも運営も初めてのルール変更を経験中

文=編集部
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2019年10月24日にハロプロ公式サイトにおいてなされた「ジャンプ行為禁止」の告知文

 モーニング娘。’20、アンジュルム、Juice=Juiceらが所属するハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)が、2020年よりコンサートの客席における「ジャンプ行為」を禁止すると発表されたのは昨秋のこと。ハロプロ公式サイトにおいて2019年10月24日、「​コンサート・イベント中の禁止行為に関して」と題した投稿が「Hello! Project」名義でなされ、そこには、

**
コンサート・イベント中のジャンプ行為に関して、
全てのお客様にコンサートを安心してお楽しみ頂く為、過度なジャンプ行為に関して、
状況を改善すべく、各会場でスタッフによるお声かけ・注意をさせて頂いてまいりましたが、
残念ながら、依然として以下の状況が発生しております。
〜中略〜
以上を考慮しまして、
2020年1月2日以降、各ユニットを含む全てのHello! Projectコンサートにおいて、
ジャンプ行為は禁止とさせていただきます。
**

との記述があったのだ。

 往時の勢いは失われたとはいえ、いまだアイドル業界において確固たる地位を占め、多数の人気グループ、人気メンバーを抱えるハロプロなれば、この“決断”は界隈では大いに話題となり、芸能ニュース等で報じられさえした。

 そして迎えたこの1月。現在、正月恒例のハロプロコンサートをまさに開催中であり、全国のコンサート会場を回っているハロプロのライブ現場は、どのようなことになっているのだろうか――。

“伝統”に反すると異を唱えるハロプロファンも

 そもそも一般にアイドルライブでは、ファンによるジャンプ行為は頻繁に見られるもの。どういったアイドルグループのファンであるかによってパターンはさまざまに分かれるものの、メンバーが観客を煽った結果、ファンが楽曲に合わせてジャンプすることもあれば、ファンがただただその場で連続ジャンプをするといったケースもよく見られるものだという。

 アイドル事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサ氏は、こう解説する。

「しばしば問題となるのは、連続ジャンプのほうです。自分の“推しメン”が歌っているときなどに連続ジャンプするファンもいれば、楽曲がもっとも盛り上がるサビのタイミングなどで連続ジャンプをするファンもいる。そうしたファンはテンションが上がって興奮していることも多いので、バランスを崩して転んだり周囲の人にぶつかったりすることもあり、危険といえば確かに危険な行為なのですよね。また、公演中にたびたび連続ジャンプをされてしまうと、その後ろの席にいる観客はステージがまったく見えなくなってしまうということも大きい。そうした行為がライブを盛り上げているのだと考え、アイドル現場におけるある種の“風物詩”として一定の理解を示す人もいますが、迷惑をこうむっていたファンもまた多いでしょう。

 ハロプロを運営する大手芸能プロ・アップフロントグループでは、実は以前から連続ジャンプについては『迷惑行為』としてルール上は禁止していました。とはいえ、実際には連続ジャンプはいまだ多く、また先述の通りそれを黙認するような空気も現場になくもないので、いわば“お目こぼし”されてきた。しかし昨秋の発表では、連続ジャンプのみに限定することなく『ジャンプ行為』そのものを禁止としたので、いわば“規制強化”。実際SNS上などでは、好意的にとらえるファンもいれば、アイドルコンサート鑑賞の“伝統”に反するものだと異を唱えるハロプロファンもたくさんいました」

小規模会場公演の増加、そして女性ファンの流入

 ではそもそも、連続ジャンプだけでなく“ジャンプ行為そのもの”が禁止された背景にはどのような事情があるのだろうか。あるアイドルの運営関係者はこう語る。

「連続ジャンプが、後ろにいる観客の鑑賞の妨害になり迷惑だ……ということはもちろんあるのですが、会場の設備を壊してしまう可能性があるし、そもそも一般にジャンプ行為など暴れる行為を禁止しているコンサート・ライブ会場は多いんです。なかには、暴れる行為自体が目的化しているような迷惑ファンもおり、それがあまりにひどいと、会場側からそのアイドルグループへの以後の会場貸し出しを断られてしまうというリスクもある。

 ハロプロも往時の勢いを失い近年は小さなキャパのライブハウスで全国を回ることも増えていますから、“ハロプロのライブはジャンプができる”というイメージがこれ以上広がるのは避けたかったのではないでしょうか。

 一方で昨今はハロプロに限らず、アイドル文化の一般化によって『おとなしく鑑賞したい』という女性ファンも増えています。そんな“新規ファン”からしてみれば、これでもかと連続ジャンプをしている男性ファンの存在は恐怖の対象でしかないでしょう。アップフロントサイドには、『多くの人ができるだけ気軽に来られるようなライブ空間を作りたい』という思惑もあるのではないかと思います」

ファンも運営サイドも“様子見”の段階か

 実際に「ジャンプ行為の禁止」ルールが適用開始されたのは、この1月2日に中野サンプラザ(東京都中野区)で行われた、ハロプロ内の全ユニット総出演のコンサート『Hello! Project 2020 Winter HELLO! PROJECT IS [     ] ~side A~』から。同日のコンサートと、その翌日に同会場で行われた同公演「side B」を鑑賞した大塚氏は、現場の様子をこう語る。

「私は、会場2階の前方に設定された“ファミリー席”(着席鑑賞限定席)で鑑賞。いわば、もっとも盛り上がっているエリアである1階客席前方を見下ろすような形でした。これまでのハロプロのコンサートでは、たいてい1階の最前列付近に、連続ジャンプをするファンを認めることができたものでしたが、この1月2日と3日のコンサートでは、そうしたファンはまったくいなかったですね。みなさん、しっかりルールを守っているようでした。

 またある楽曲で、振り付けの都合上、これまでの公演であれば会場全体で一斉にジャンプをしていたような場面でも、今回は全体で一気にジャンプをするという感じではなく、なんとなくフワッと一緒にジャンプしてみた……という程度でした。これまでのように思い切りジャンプするファンは少なく、軽くジャンプするファンが大勢だったという印象です。一方で、そういう“振り付けのなかのジャンプ”については、係員も特段注意をするようなことはなかったようです」

 しかし、SNSなどへのファンの投稿を見てみると、同会場では、ジャンプ行為をして警備の係員に注意された観客もいたようだ。

「どこまでがOKでどこからがNGなのかという基準が判然としないので、ファンも係員も戸惑っている部分も多いのでしょう。ハロプロではメンバーが客席に対してジャンプを要求して煽るような曲も多いのですが、今回のツアーではそういったあからさまな“ジャンプ煽り曲”は披露されていないんですよ。そういった楽曲が披露されたときにどうなるかという点は、今後の問題になってくると思います。

 個人的な印象としては、ファンもスタッフもまだ答えを模索している状態とはいえ、いつもならば会場1階前方で見られたような過度な連続ジャンプが見られなかったというのは、前進のように思えますね。ジャンプをしたいファンからは不満の声もあるようですが、それでもそうした変化をしっかりと受け入れつつ、よりよい現場を作り出そうとしている印象を受けました」(大塚氏)

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