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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

高齢者の医療費・介護費、「3割負担」拡大…恐ろしく速いペースで負担増の法改正

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
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 そして、2008(平成20)年4月から、75歳以上と一定の障害のある65歳以上を対象にした「後期高齢者医療制度」が導入され、現行の負担割合となっている。

負担増は「医療」だけではない!「介護」もたび重なる改正が実施

 さて、高齢者にとっての不安材料は「医療」だけではない。「介護」に関しても、認知症などを含めて、不安視しているシニア層は非常に多い。その上、公的介護保険(以下、介護保険)の改正も医療以上に頻繁に行われており、被保険者の負担が増大している。

 介護保険は、急速に進む高齢化を公的な社会保険制度で対応する目的で、2000(平成12)年4月から導入された。いわば、加齢とともに衰えていく心身を支え、最後まで自分らしく生きるために整えられた共助のしくみだ。制度が導入されて以来、はや20年近くが経過した。65歳以上の被保険者が約1.6倍に増加するなか、介護サービス利用者数は約3.3倍に増加。高齢者の介護になくてはならないものとして定着しつつある。

 介護保険法では、保険給付の円滑な実施のため、3年間を1期として介護保険事業(支援)計画が作成。保険料などが改定されている。また、施行から5年を目途に、必要な見直しも行われており、現在2018~2020年までの第7期計画が実施されている。

 そこで、気になる介護保険の利用者負担だが、原則は「1割」。しかし、改正によって2015年8月1日から一定の所得がある65歳以上の利用者負担が「2割」に引き上げられた。対象は、単身世帯なら年収280万円、夫婦世帯なら年収346万円以上の場合である。さらに、2018年8月1日からは、2割負担者のうち、とくに所得の高い層の負担割合が「3割」に引き上げられた(ただし、月額4万4,400円の上限あり)。

 基準は単身世帯なら年収340万円、夫婦世帯なら年収463万円以上が対象となる。厚生労働省の資料では、受給者全体496万人のうち、2割以上負担者は45万人。なかでも3割負担者は約12万人(全体の約3%)という。

【前編】で紹介したように、後期高齢者医療制度の被保険者のうち、医療費の3割負担の可能性のある「現役並み所得」に該当するのは約7%。これよりも少ないとはいえ、該当する高齢者世帯は、医療も介護もすでに3割が当たり前となっているのが現状だ。当然のことながら介護保険に関しても、2割または3割負担の対象を拡大する議論は行われている。

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17:30更新
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