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韓国人と日本人は“こんなに違う”けど“こんなに似た者同士”だった

構成=長井雄一朗/ライター
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検事、記者、税務署員の誰が食事代を払ったか?

――日韓対立を鎮めるために、日本からはどのようなアプローチをすればいいのでしょうか。

 安倍政権は「国際法では解決済み」の一本槍で、韓国人の心情をくんでいるとはいえません。元徴用工や慰安婦の問題を本気で解決するのであれば、それらの人々の気持ちをくんだ対応を取ることが大事です。そうすれば、韓国側も「我々の心情をわかってくれた」と軟化するかもしれません。

 私は、「韓国人の心情や立場は理解できるが、国際法上の約束を破るのは恥ずかしいことだから、韓国側で解決しなさい」と伝えています。いくら主張しても、日本とは論理が異なるわけですから。韓国人の研究者らが執筆した『反日種族主義 日韓危機の根源』は韓国でベストセラーになり、日本でも発売されています。一昔前の韓国では考えられない現象ですが、韓国も成熟した社会に変わりつつあるということです。

――昨年、韓国では曺国前法相のスキャンダルが文政権を揺るがしました。結局、曺法相は辞任し、文大統領の検察改革は失敗したとの見方が広がっています。

 これは、韓国の権力構造が大きくかかわってくる話です。韓国で流行したなぞなぞがあります。検事、新聞記者、税務署員の3人がレストランで食事をした後、誰が食事代を払ったか? というものです。検事は法の番人で、新聞記者は権力の濫用を監視する役割で、税務署員は脱税に目を光らせている……日本であれば割り勘になるのでしょうが、実はレストランの主人が払ったというのが答えです。

 この3者に恩を売っておけば何かのときにお目こぼしがあるので、先行投資をしたというわけです。これは、3者がそれぞれ権力を持ち、プライドが高いことを皮肉った小話です。

 実際、韓国人はすごくしたたかな面があり、絶対的な権力者に対しては従う一方で、不義があればひっくり返すこともします。それは、曺前法相の件や朴槿恵前大統領の失脚を見れば明らかです。韓国では憲法の上に「国民情緒法」と「ゴネ得法」の2つの概念があるといわれます。前者は国民世論によって政治や司法の判断が揺れることで、後者は法的には無理でもゴネればなんとかなるという意味です。

――韓国人は日本人よりも政治への関心が高いですね。

 韓国ではタクシー運転手が影のオピニオンリーダーといわれていて、実際に彼らを抱き込むような政党もあります。また、最近の韓国で流行している言葉に「うちの女房は政治評論家になったよ」というものがありますが、朴前大統領を失脚させた「ろうそく革命」も女性たちの怒りが出発点でした。保守もリベラルも、デモの先頭には乳母車を転がす女性たちがいることが多いです。韓国の女性たちは美容院で政治談義に花を咲かせていることも多く、時に政権を揺るがすほどの力を持っています。

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