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楽天、出店者猛反発でも送料負担強制を強行…アマゾンより“劣るサービス”に強烈な焦り

文=有森隆/ジャーナリスト
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公取委が調査

 楽天の物流網の人口カバー率は約60%にとどまっており、都市部への偏りが大きい。約5万の出店者に一律の送料無料を強制するには、準備不足だった。今後は、公取委を舞台に独占禁止法上の「優越的地位の乱用」に当たるかどうかが争われることになる。優越的地位の乱用は、影響力の大きい企業が取引の多い中小企業に対して、自社の利益を優先して製品の大幅な値下げなどを迫るケースが該当する。一方、商業施設の運営者が地価の上昇を理由にテナント料を引き上げることなどは、正当な理由があると認められている。楽天は、「利用者の増加は出店者の売上増加につながるので、行き過ぎた要求には当たらない」との見解だ。

 公取委は19年10月にまとめた報告書で、プラットフォーマー(PF)による一方的な規約変更などを問題視している。「契約した時と条件が変わるのはおかしい」という出店者側の主張を公取委がどう判断するかだ。

「三木谷氏は以前も、楽天市場で銀行振込の代金決済を楽天銀行に限定したため、出店者のブーイングと(楽天市場からの)撤退表明が相次いだことがある。今回もこうした強硬路線が見え隠れする。やり方が乱暴すぎた。無理筋を通そうとするのは、ネット通販で海外が伸びておらず、どうしても国内で利益を上げるしかないからだ」(外資系証券会社のアナリスト)。

 公取委は1月28日、楽天への調査を開始した。出店者側からも事情を聞き、出店者に一方的に送料負担を強いると判断した場合は、排除措置命令といった行政処分に踏み切るとみられている。楽天への調査は、強制権限がある審査官が実施する。楽天側は正当な理由がない限り、公取委の調査を断ることができない。

 調査の結果次第だが、違反が確認されれば、違反行為をやめさせる排除措置命令などの処分を出すことになる模様だ。

三木谷氏の決意表明

 三木谷氏は1月29日、出店者向けイベントで送料無料化について「これをしないと成長できない。ここが分水嶺だ。何がなんでも、皆さんと一緒に成功させたい」とイベントに出席した4000人の出店者に訴えた。三木谷氏の発言は、「公正取引委員会と対立しようとも送料無料化をやり遂げる」という決意の表明と受け止められた。

 出店者からは「送料負担で赤字になる」「売上を楽天市場に依存しており、撤退は難しい」といった声が上がっているが、1月29日のイベントでは、三木谷氏との質疑応答の時間は設けられなかった。出席者の中からは「小規模店舗の切り捨てだ」との反発が強まっている。三木谷氏は同日、ツイッターを更新。「公取や行政のマスコミにリークをして、けん制をかけるやり方はあまりに時代錯誤でひどすぎる」と批判した。

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