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不振の日高屋や幸楽苑を尻目に餃子の王将独り勝ち…国産へのこだわり、緻密な経営戦略

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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餃子の王将の店舗(「Wikipedia」より)
餃子の王将の店舗(「Wikipedia」より)

 中華料理チェーンを展開する企業の勢力図が変わってきている。「日高屋」や「幸楽苑」の勢いに衰えが見える一方、「餃子の王将」に勢いが出てきている。それに伴い、運営会社の業績も明暗が分かれている。今、業界は混沌としている。

 王将を展開する王将フードサービスの業績が好調だ。2019年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比4.3%増の639億円、営業利益が7.7%増の59億円と、増収増益を達成した。

 一方、日高屋を運営するハイデイ日高の業績は冴えない。19年3~11月期単独決算は、売上高が前年同期比0.1%増の314億円、営業利益が16.3%減の30億円だった。増収だったものの伸び率はわずかで、営業利益は大幅マイナスだ。

 幸楽苑を展開する幸楽苑ホールディングス(HD)の業績は深刻だ。19年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比4.6%減の295億円、営業利益が71.9%減の4億3900万円だった。大幅な減収減益となった。

 幸楽苑HDの業績悪化には特殊な事情があり、やむを得ない面がある。昨年10月に日本を直撃した台風19号により、福島県郡山市にある工場の操業が停止した。その影響で店舗 へ食材が供給できず、全店の半分にあたる約240店の一時休業を余儀なくされた。こうした特殊な事情があるので業績悪化は致し方ない面があるが、それでも今後の勢力拡大に黄色信号がともっていることは間違いない。

 ハイデイ日高の失速も気になるところだ。売上高はこれまで大幅な伸びを見せてきたが、19年3~11月期は伸び悩んだ。営業利益は同期としては2年連続で減益となった。前年同期は13年以来5年ぶりの営業減益だった。

 ハイデイ日高が失速したのは、「働き方改革」が影響したためだ。働き方改革の進展で残業が減り早い時間に退社する人が増えたが、それに伴い、日高屋に寄らずに帰宅する人が増えたという。

餃子ブームを背景に「餃子の王将」が躍進

 このように、ハイデイ日高と幸楽苑HDの業績は厳しい状況だったが、一方で王将フードサービスの業績は好調に推移している。19年4~12月期の連結決算が増収増益だったことは先述した通りだ。

 王将フードサービスの業績が好調な背景には、既存店が好調なことがある。19年4~12月の既存店売上高は、前年同期比3.5%増と大きく伸びた。客数と客単価はどちらもプラスだった。また、いずれも7月以外のすべての月でプラスだった。通期ベースでは既存店売上高は19年3月期まで2年連続で前年を上回っている。

 既存店が好調なのは、王将に「餃子ブーム」の追い風が吹いたことが大きいだろう。餃子ブームにより、ここ数年、餃子を売りとする店が増えている。関東圏を中心に店舗展開している餃子居酒屋チェーン「肉汁餃子製作所ダンダダン酒場」が代表的だろう。現在、全国に80店超を展開し、その店舗数は大きく増えている。

 こうした餃子ブームの追い風が吹くなか、王将は売りの餃子を前面に打ち出して需要の取り込みを図ってきた。餃子に使う食材にはこだわっており、主要食材の豚肉、キャベツ、ニラ、ニンニク、生姜、小麦粉はすべて国産だという。なかでもニンニクは青森県産、小麦粉は北海道産と、産地にまでこだわっている。

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