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松崎久純「ビジネスパーソンの自己啓発」

「成功のためにすべきこと」を避けて「当面やるべき仕事」に逃げる人は、成功できない

文=松崎久純/グローバル人材育成専門家、サイドマン経営代表
「成功のためにすべきこと」を避けて「当面やるべき仕事」に逃げる人は、成功できないの画像1
「Getty Images」より

 出世あるいは事業の成功を目指す人は、「自分が成功のためにすべきこと」ときちんと向かい合う必要があります。ごく当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、成功を目指す人を見ていて、もっと真剣に向き合えばよくなるのにと思えることは少なくありません。

 多くの人が、目の前にある仕事には熱心に取り組んでいても、成功のために本当にすべきこと――1つ例を挙げれば、顧客を増やす方法を考え行動する――といったことから、目を逸らしていることがあるように見えます。

「当面やるべきこと」に集中してしまいがち

「成功のためにすべきこと」には、成功したい人なら誰もが向かい合い、それについて熟考していそうですが、実はそうではなく、むしろずっと避けている人も少なくありません。誰もが今後のことを心配して、何かヒントを得られるかもしれないと本を読んだり、情報を得ようとはしています。しかし多くの場合は、皆「当面やるべきこと」に集中しがちになり、本当に向かい合うべきことは置き去りにされています。

「当面やるべきこと」が簡単なことだと言いたいのではありません。しかしながら、それに対処している間は、向かい合うべきことに向かい合わなくても済むため、実は精神的にラクな面があります。それもあって「当面やるべきこと」に没頭する状態は続いてしまうのです。

向かい合うのは「つらくて」「怖い」こと

「成功のためにすべきこと」に向かい合うのには、「つらい」面があります。それは「すべきこと」を考えて答えを見つけたり、実行したりするのが簡単ではなく、悩まなくてはいけないことが多いからです。

 たとえば、どうやって顧客を増やすかと悩むよりも、とりあえず今ある仕事に必要な資料を準備するほうが(資料の準備がたいへんな作業ではあっても)、答えが見つからず苦悩するつらさがない分ラクなのです。

 そうして向かい合うことを避けていると、そのまま歳をとってしまうことになります。仕事をしていないわけではなく、遊んでいるように見えるわけでもありませんから、人から注意されることもなく、それでなおさら、「成功のためにすべきこと」とは向かい合わないままになってしまいます。

 また、「成功のためにすべきこと」に向かい合うのは「怖い」ことでもあります。顧客を増やすことについて考えれば、「顧客が見つからなかったらどうしよう」と思い悩むことにもなるでしょう。それを考えるのは怖いことですから、できれば向かい合いたくないのです。

 他の例ですが、筆者が非常勤講師をしている大学院でも、昨今の売り手市場においても就職せず、「どんな仕事がしたいのかわからない」と言って卒業後に(私から見ると安直に)留学したりする学生もいます。彼らを見ていると、キャリアを形成することと向かい合うのに、「希望が叶わなかったら……」「就職できても、やりたい仕事でなかったら……」と怖れを抱いているように見えることがあります。これは社会人が「向かい合うべきことに向かい合う」のを怖がるのと同じことに見えます。

どうすれば克服できるのか

 ここでは「成功のためにすべきこと」に向かい合うのは、つらくて怖いことだと認め、その上で出世のプランなり、事業の成功に本当に必要なことと向かい合う決心をするよう勧めたいと思います。

 そのために、すぐにでも取り掛かれる一つの方法を紹介したいと思います。たとえば顧客を増やすことが「すべきこと」だと思う場合には、顧客を増やすための方法を思い付くだけ書き出します。対象となりそうな見込み客やその候補についても(わかる範囲でいいですから)書き出し、実現の可能性をさぐっていきます。

 筆者のような経営コンサルタントが顧客を見つけたい場合は、顧客となってくれそうな企業のリストはもちろん、各地の商工会議所や大学、役所、そして大手のコンサルティング会社から仕事をもらえる機会がないかといったことまで、思いつくままに書き出していきます。そうすることで、まだコンタクトさえしたことがない組織があることに気づきますから、そうした見込み客の候補を多く書き出し、どのようにアプローチするかを考え、行動するための「計画」の中に落とし込んでいきます。

計画を持つことが違いを生み出す

 実は、私たちが「成功のためにすべきこと」に向かい合うためには、この「計画」を持つことが大事なのです。計画があれば、その計画と向かい合うことでき、漠然と感じる「つらさ」や「怖さ」を和らげることができます。

 言うまでもなく、計画があれば、それに取り組むことができます。計画は随時見直す必要も生じるものですが、一応であっても計画があり、それに取り組んでいることで、私たちは安心することができるのです。

 これは「成功のためにすべきこと」に向かい合っておらず、計画すらない、という状態とはまるで異なります。成功に向けてやるべきことのリストがあれば、(先ほどの例で言えば)営業をしかける見込み客やその候補についても、全体像というべきものが見えてきますし、計画に向かい合っていると、時間の経過と共に、実現することも出てくるものです。

 ぜひ計画と付き合う習慣を身に付けましょう。日々、書き出した計画を吟味しつつ、場合によっては、それをじっと眺めているだけでもムダではありません。向かい合うのを避けていることに比べたら、はるかに意味のある行為です。

 計画を立てることは、決してスムーズにできるとは限りません。難しいと感じたら、そのときはむしろ通るべき道を歩んでいると考えましょう。多くの人が、計画立案はだんだん上達していくものと実感するようです。前向きに考え取り組んでいきましょう。

(文=松崎久純/グローバル人材育成専門家、サイドマン経営代表)

松崎久純/グローバル人材育成専門家

松崎久純/グローバル人材育成専門家

サイドマン経営代表

企業の海外赴任者や海外拠点の現地社員を対象にグローバル人材育成を行う専門家。サイドマン経営・代表。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科非常勤講師。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ 成功するための真の要因』(光文社)、『英語で学ぶトヨタ生産方式 エッセンスとフレーズのすべて』(研究社)、『イラストで覚える生産現場の英語』(ジャパンタイムズ)など多数。

Twitter:@HardLifeEasy

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