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すかいらーく24時間営業廃止で、すき家が漁夫の利か…逆に深夜需要が増える業種も

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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 ファミレスのように深夜の需要が大きく減っている業態がある一方で、需要が見込めるために24 時間営業を志向する業態も存在する。たとえば、牛丼チェーンの「すき家」がそうだろう。

 すき家は深夜の営業を従業員1人に任せる「ワンオペ」と呼ばれる過酷な労働実態が問題視され、14年に全店の6割にあたる1200店超で深夜営業の休止を余儀なくされた。しかし、その後は24時間営業の店舗を増やしている。

 すき家は「24時間356日提供」を基本としている。ファミレスと違って会話の場や終電を逃した人の受け皿という要素が小さいため、こうした需要の減少の影響が限定的だ。また、全体的には深夜の需要は減っているが、一方で24時間営業をやめるファミレスが増えて行き場を失った人が流れてくることが期待できるため、すき家は24時間営業の店舗を増やすメリットがあるといえる。

 コンビニも24時間営業の是非が問われているが、すかいらーくHDのケースとは別に考える必要がある。利便性が命のコンビニと、そうではないファミレスとでは、24時間営業が持つ力が異なるためだ。コンビニの深夜需要の減少は、ファミレスほどではない。

 また、独立した個人事業主のフランチャイズチェーン加盟店オーナーがほとんどのコンビニと、直営店舗がほとんどで雇われ社員が大多数を占めるすかいらーくHDとでは、営業時間が短くなって店の売り上げが減った場合の影響が大きく異なる。すかいらーくHD社員は、時短営業で店の売り上げが減ったとしても、収入はあまり減らないだろう。一方、コンビニオーナーは店の収益が自身の収入に直結するため、深夜帯に売り上げが見込める場合には時短営業にすれば収入が減る恐れがある。時短営業の影響が大きく異なるため、両者は別に考える必要があるだろう。

訪日外国人の増加で深夜の需要が高まる

 逆に、24時間営業の店舗を増やしている小売店もある。ドラッグストア大手のウエルシアHDは、「子どもが夜中に急に発熱した」「仕事が忙しくて病院に行けない」といったニーズや困りごとに対応するため、24時間営業の店舗を増やしている。カジュアル衣料品店のジーンズメイトは、増加している訪日外国人を取り込むため、一旦廃止した24時間営業を再開し、24時間営業の店舗を増やしている。

 こうした動きもあるが、一方で人手不足が深刻化するなか、従業員の定着率や士気の向上を図るために、営業時間を短縮する動きは今後さらに広がっていくだろう。人手を確保できなければ店舗網を維持できないからだ。だが、全部が全部、24時間営業をやめる必要はない。すき家やウエルシア、ジーンズメイトのように24時間営業を志向する店・ブランドがあってもいいだろう。

 今後は深夜の需要が増える可能性もある。深夜に活動することが少なくない訪日外国人が今後増えていくことが予想されているが、それに伴い夜間に観劇や観光などの娯楽を楽しむ「ナイトタイムエコノミー」が広がる可能性があるからだ。

 訪日外国人の間には「日本は深夜まで営業している娯楽施設が少なく、夜を楽しめない」といった不満の声が少なくない。こうした状況を受け、官民がナイトタイムエコノミーの促進につなげる取り組みを広げている。ナイトタイムエコノミーが広がれば、深夜における飲食店やコンビニなどの需要が高まる。

 こうしたことから、あらゆる業種について一律に「24時間営業は廃止すべき」と言うことはできない。ケースバイケースで考えるべきだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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