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高杉康成「コンセプト・シナジーな経営戦略」

たった120mlしか入らない「ポケトル」大ヒット、その“指摘されない意外な要因”

文=高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士
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 実際、ビジネスウーマンのカバンの中身を見てみると(重量は概算)、スマホ(200g)、スマホバッテリー(100g)、化粧品(300g)、手帳(400g)、財布(200g)、名刺入れ(100g)、日焼け止めクリーム(50g)、晴雨兼用の折りたたみ傘(250g)とさまざまなアイテムをバックの中に入れており、これだけで1.6kgにもなります。

 このような状況で、ポケトルは500mlのペットボトルに比べて260g軽くなるわけですから、荷物が1つ減ったのと同じ効果を体感することができます。この軽量という価値がポケトルのヒット要因と捉えることもできます。

減った水分はどこへいったのか?

 しかしながら、もう1つ腑に落ちないことがあります。それは、「そもそも120mlで足りるのか」という疑問です。仮に今まで500mlのペットボトルを持ち歩いていたのだとすると、残りの380ml分はどうなったのでしょうか。

 ポケトルを使うようになったことで、380mlもの水分を減らすようになったとは考えにくいです。ということは、さらに別の要因が存在する可能性があるということです。そこで、この足りなくなった分を補完してくれる要因を見ていきます。

 まず、思いつくのがウォーターサーバーです。最近は、オフィスなどにウォーターサーバーが増えてきました。日本宅配水&サーバー協会のデータによると、2007年に67万台だったのが、2018年には395万台にまで増えて、10年ちょっとで6倍にもなっています。

 ということは、割と身近にウォーターサーバーがあり、利用することができ、わざわざ500mlのペットボトルを持ち運ばなくても、残りの380mlが補完されるようになったと考えらえます。

 次に、コーヒーについても見てみましょう。スターバックスコーヒーなどの店舗も大幅に増え、コンビニコーヒーも定番化し、オフィスにまでコーヒーサーバーが普及してきました。全日本コーヒー協会のデータによると、日本のコーヒー需要は、2018年は2007年に比べて1.1倍、2000年に比べても1.2倍に伸びているとのことです。ここにも足りなくなった分を手軽に補完できる代替方法が存在します。

 このように見てみると、ポケトルのヒットは、単に飲み切りの小容量で使い勝手がいいだけではなく、たくさんの荷物を持つなかでの軽量化のニーズ、そして、ウォーターサーバーのような代替方法の登場といった複合的な要因が重なって、大ヒットしたと考えることができるのです。

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23:30更新
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