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黒川智生の「アパレル、あばれる」

アパレル業界関係者が想像もつかない、今の“Z世代”の志向と行動様式

文=黒川智生/VMIパートナーズ合同会社代表社員
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 毎シーズンごとに、流行らせたいテーマ、デザイン、色を決め、初期商品をお店やECに並べて、お客様の反応を見る。“他のブランドで○○なデザインが動いている”と聞けば、それに似たモノを早速つくる。そこに差異を持たせようとすれば値段を下げる。それを実現させるために海外生産を増やす――。

 こういう仕事は、Z世代から見れば魅力が薄いようだ。アパレル業界の皆さんが当たり前のように行っていることである。

 以前であれば情報が伝わるのに時間を要した。しかし、“スマホファースト”の世代にとっては、何かを比較して意見交換することは極めて容易である。そうなると、改めて「自分らしさを表現できる独自の一枚(一点)は何?」という問いが強く湧いてくる。いつもそんなに考えていないかもしれないが、「いざ買おう!」と思う時には、相当に吟味し、その効果やリセールの値段も慎重に見極める。そんなスタイルに、私たちが学ぶべきことが多いだろう。

アパレル業界関係者が想像もつかない、今の“Z世代”の志向と行動様式の画像3
「PIXTA」より

 嗜好に関わる部分であるが、下記のようなフレーズもあった。

「ラグジュアリーブランドのカジュアル化が目立っているため、昔のジャケットスタイルやフォーマルなものが選べるブランドが不足していると思います」

「冬服がどうしても高くなってしまうので、安い冬服を買えるブランド」

 多様なライフスタイルに応じた“カジュアル化”は大勢であるが、一方でトラッド要素やチェックをアイコンとするブランドが求められているのは、こうした意見が背景にあると考えるのか。

 暖冬が当たり前となる昨今、新しい“冬の過ごし方、動き方”に応じた商品の開発が必要だろうか。

 この2つの意見からも、独自性を発揮できる商品開発コンセプトにつながってくる。

 前例主義や効率を重視してきたアパレルであるが、このままではZ世代は離れていく一方で、ときどきしか接触せず、他の興味ある分野に時間を使うようになる。彼らの本音に触れ、従来型の視点では見えなくなった視点に学び、何かをカタチにして返すことで、ブランドや商品、サービスのファンを増やすことが、2020年には求められているだろう。

(文=黒川智生/VMIパートナーズ合同会社代表社員)

●黒川智生

VMIパートナーズ合同会社代表社員。國學院大學文学部史学科卒。(株)ワールドにてアパレルブランド業務を担う。2006年3月独立。東アジアのファッションブランドを主な対象として「BRANDING」「MERCHANDISING」「LOGISTICS」の分野で専門的なサービスを提供している。一般財団法人ファッション産業人材育成機構(IFIビジネススクール)では、各種クラスで講師を担当。

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