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新型肺炎で停泊のダイヤモンド・プリンセスの受難の歴史…過去に“呪われた客船”と有名に

文=編集部
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新型ウイルス肺炎が世界に拡大 横浜港にクルーズ船が着岸(写真:ロイター/アフロ)

 2月5日、横浜港沖に停泊中の豪華クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客と乗組員のうち10人から新型コロナウイルスの感染が確認された。国内で集団感染が確認されたのは初めてである。

 厚生労働省によると、乗客乗員3711人のうち、発熱やせきなどの症状がある人と、その濃厚接触者など273人の検体をとり、感染の有無を確認した。このうち、31人の検査結果が出て、日本人3人を含む10人の感染が確認された。10人は下船し、神奈川県内の4つの感染症指定医療機関に搬送された。今後さらに感染者が増える。検疫期間の最低14日間は横浜港周辺に停泊している。

 新型肺炎を発症した男性の乗客は、1月20日に横浜から乗船し、1月25日に香港で下船した。下船して7日後となる2月1日に新型コロナウイルスの陽性反応が出た。このため2月3日夜から大黒ふ頭沖で乗客と乗組員全員の検疫を行っていた。

 クルーズ会社プリンセス・クルーズはカーニバル・コーポレーション傘下で、プリンセス・クルーズと姉妹船サファイア・プリンセスの外航クルーズ客船、2隻を運航している。2014年、日本マーケット向けに大規模なリノベーションを行い、展望浴場や寿司などのコーナーが新設され、横浜発着クルーズに使用されてきた。次の航海は2月4日に横浜港、2月6日に神戸港を出発予定だった。この「陽気に沖縄・台湾クルーズ9日間」の運航は中止と決まった。

建造中に大火災が発生したダイヤモンド・プリンセス

 ダイヤモンド・プリンセスには受難の歴史があり、過去に“呪われた豪華客船”といわれたこともある。惨劇は三菱重工業長崎造船所で02年10月1日に発生した火災事故である。この客船は総トン数約11万6000トン、全長290m、甲板17層、最大客数約2700人という、日本造船史上最大の豪華客船だ。

 火災は進水を終えた船体を岸壁に係留し、艤(ぎ)装工事を進めている最中に発生した。出火場所は5番デッキの320号室。階下の4階のデッキで行われていた溶接作業の熱が伝わり、320号室内の可燃物に引火したことが原因だった。火災発生から36時間後に鎮火したが、船は床面積の4割を焼損し、130億円という巨額損失を計上した。日本の造船史に残る大事故だった。

 同時に建造していた2番船(サファイア・プリンセス)を急遽、新ダイヤモンド・プリンセスに改修。04年2月、ダイヤモンド・プリンスセスとして7カ月遅れの納入に漕ぎつけた。炎上した1番船は香焼工場に移されて、焼損部分を完全に撤去し改修された。04年5月、新サファイア・プリンセスとしてデビューを果たした。

 三菱重工業は今年、創業の地である長崎市内に持つ2つの造船所のうち、主力の香焼工場を、造船で国内3位の大島造船所に売却する方針を発表した。

 今回の新型肺炎をめぐる事態で、ダイヤモンド・プリンセスの受難の歴史に、新たな1ページが刻まれることとなった。

(文=編集部)

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