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三菱UFJ、数学科出身社長就任の衝撃…“IT銀行化”と180店舗削減で果敢な改革断行

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授

 一方、国内においてMUFGはコストを抑制し、収益性を維持・強化しようとしている。その一つの取り組みとして、自然減と採用の抑制などによる人員の削減が目指されている。また、23年度までに三菱UFJ銀行は店舗数を180削減し、窓口業務の負担を軽減する方針だ。当初、100店舗の削減が目指されていたことを考えると、コスト削減の重要性は高まっている。

デジタル化による競争の激化

 次に、MUFGは世界的に進む、銀行のデジタル化(スマートフォンなどを通してネット空間で銀行サービスが提供されること)にも対応しなければならない。それも亀澤氏が次期CEOに指名された理由の一つだろう。世界的なデジタル化のスピードに対応し、信頼できるシステムを構築するためには、理論と実務の両面で最先端の内容を的確に理解し、自社の向かうべき方向を明確に提示できる経営トップ人材が不可欠だ。

 現在、世界的にネットワーク・テクノロジーの高度化とその実用化によって、フィンテック・ビジネスに取り組む企業が増え、銀行を取り巻く競争は激化している。端的に、スマートフォンなどの普及とともに、急速にIT先端企業などに銀行の機能が染み出している。

 良い例が、中国のIT大手企業、アリババ・グループだ。同グループは、スマートフォンを用いたモバイル決済や、ビッグデータを用いた個人の信用格付けのビジネスなど、最先端のIT技術を用いて多様な金融ビジネスを展開している。

 また、ケニアなどでは同国の通信企業であるサファリコムなどが「エムペサ(M-Pesa)」と呼ばれるモバイル決済サービスを提供している。エムペサにより、伝統的な銀行サービスにアクセスできなかった人々が、携帯電話を通して資金の決済サービスなどを利用している。

 さらに分散型のネットワークシステムであるブロックチェーンを用いてビットコインの発行と取引が実現され、送金などが行われている。ビットコインの取引は、特定の監督者を置かず、参加者の相互の承認によって成立している。その有用性に着目し、ブロックチェーンを使って、価値が安定した(投機の対象となりにくい)独自のデジタル通貨を開発し、決済サービスの提供を目指す企業も増えている。

 そうした民間企業の取り組みを受け、中国やスウェーデン、米国などの中央銀行も、法定通貨のデジタル化に関する研究開発を進めている。さらに、業務の省人化・自動化の分野でもブロックチェーンの活用が重視されている。競争への対応、新しい通貨制度への対応などの面で、銀行が最先端のネットワーク・テクノロジーへの対応を進めることは避けて通れない。

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11:30更新
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