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三菱UFJ、数学科出身社長就任の衝撃…“IT銀行化”と180店舗削減で果敢な改革断行

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授

早期の収益安定と新しいビジネスモデル構築

 今後の展開を考えた時、MUFGにはデジタル化への取り組みに加え、早期の収益安定も求められる。昨年4~12月期、MUFGが買収したインドネシアの中堅銀行バンクダナモンの株価下落から損失が発生した。

 すでに、アジアを中心に新興国各国では中国経済の減速やそれを反映した資源需要の低迷から、景気減速懸念が高まっている。アジアを中心に海外事業を強化してきたMUFGへの逆風は強まりつつあるといえる。世界経済の先行き不透明感が高まりつつあるなかで、より厳正にリスクを管理し、コストの削減を進めて収益性を回復させるためにも、最先端のネットワーク・テクノロジーを導入する重要性は増すだろう。

 このように考えると、MUFGにとってさまざまな強みを持つ企業とアライアンスを結ぶことの重要性は一段と高まっていくはずだ。その上で傘下の三菱UFJ銀行などが国内外で蓄積してきた個人や企業などの信用審査のノウハウを活用することが目指されるとよいだろう。

 たとえば、中小企業向けの事業承継のコンサルティング・サービスをオンライン上で提供するシステムや、銀行の信用審査のノウハウを応用した(他の企業には再現が難しい)クラウドファンディングのプラットフォーム構築、それを通じたスタートアップ企業の経営支援など、さまざまな展開が考えられる。その上で、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが求められる場合に、専門性の高い人材が付加価値の高いサービスを提供できれば、MUFGの収益は上向き、競争力は高まる可能性がある。

 今後、亀澤氏の指揮の下、MUFGの収益基盤の安定化と、デジタル技術を用いた新しい銀行のビジネスモデル構築がどう進むかに注目が集まるだろう。重要なことは、実用に耐えうるしっかりとしたシステムを構築することだ。激化する競争への対応を急ぐあまり、システムの不備が発生するなどすれば、収益の回復により多くの時間がかかることも考えられる。亀澤氏の下でMUFGがどう変わるかは、他の国内銀行勢の経営にも無視できない影響を与えるだろう。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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