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大塚家具はヤマダ電機の“救済”で再建可能か。揺らぐ業界トップの座…極めて低い相乗効果

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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 実際の売り場を見たところ、相乗効果を見込むというよりは、大塚家具に販売機会を提供する意味合いのほうが強そうだ。大塚家具はこれまでに、賃料削減を目的とした店舗の閉鎖を進めてきた。それにより採算性はある程度改善したが、一方で売り上げが減ってしまった。そこでヤマダは大塚家具に商品を販売する機会を提供することで、大塚家具に売り上げを上げる機会を与えたのではないか。

 ただこの場合、家電を配置する売り場が減ってしまうので、家電の品ぞろえが悪化してしまい、家電の販売が落ち込んでしまう可能性がある。そのため、家電の売り上げの落ち込み以上に家具の売り上げを確保する必要がある。結局は、大塚家具の商品力とブランド力が向上しなければ、にっちもさっちもいかないということだ。相乗効果も大塚家具の商品力とブランド力があってこそだろう。

 大塚家具は商品力とブランド力の低下が一因で、販売不振が依然として続いている。1月の既存店売上高は前年同月比7.2%減と大きく落ち込んだ。昨年10~12月に至っては、いずれも20%超の大幅マイナスとなった。販売不振に歯止めがかかる兆しは見えていない。こうした状況から脱却するために、ヤマダは大塚家具の商品力とブランド力を高めることも求められている。

ヤマダ電機、増収増益でも頭打ち感漂う

 もっとも、ヤマダ自身も収益が伸び悩んでおり、大塚家具だけを心配すればいい状況にはない。

 足下の19年4~12月期連結決算は、売上高が前期比2.2%増の1兆2179億円、経常利益が51.5%増の416億円と増収増益となっており、決して悪い内容ではない。だが、中長期的な視点で見ると、風景は異なる。

 直近本決算の19年3月期の売上高は1兆6005億円、経常利益は368億円だった。巨額の収益を叩き出しているが、ピークとなる11年3月期(売上高2兆1532億円、経常利益1378億円)と比べると、大きく落ち込んでいる状況だ。この8年間で売上高は7割強、経常利益は3割弱の水準にまで低下した。近年は、かつてのような強さがないのだ。

 競合との比較でも懸念がある。ヤマダの売上高は業界最高だ。競合の18年度の売上高はビックカメラが8440億円(連結)、エディオンが7186億円(同)、ヨドバシカメラが6931億円(単独)、ケーズホールディングスが6891億円(連結)となっている。ヨドバシは非上場企業で単体決算しか開示していないため単純比較はできないが、ヤマダの売上高が突出していることがわかる。だが、利益率は必ずしも高いとはいえず、経常利益は業界最高ではない。

 ヤマダの18年度の売上高経常利益率は2%で、ヨドバシ(8%)、ケーズ(6%)と比べると低い。また、ヤマダの経常利益は368億円で、ヨドバシ(573億円)、ケーズ(385億円)よりも少ないのだ。

 こうした状況下にあって、ヤマダは多少のリスクを冒してでも大塚家具を傘下に入れて住宅関連事業を強化し、収益を高めたいのだ。家電市場に頭打ち感が漂うなか、各社は非家電分野の強化が急務となっている。ヤマダは大塚家具との相乗効果を発揮して収益を向上させ、売上高の向上はもちろん、利益の面での復権を目指す。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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