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観たら死ぬ!超いわくつきの映画『アントラム』配給のヤバい経緯を伝説の映画プロデューサー・叶井俊太郎が暴露!

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観たら死ぬ!超いわくつきの映画『アントラム』配給のヤバい経緯を伝説の映画プロデューサー・叶井俊太郎が暴露!の画像1 観た者が次々と非業の死を遂げるため、この世から葬り去られたはずだった“呪われすぎた”映画『アントラム/史上最も呪われた映画』が、2月7日から全国順次公開となった。

『アントラム』は1979年にアメリカで撮影された1本のオリジナル・フィルム。この作品にかかわった人々はもちろん、それを観た観客までも次々に死に至ったという、超いわくつきの映画だ。

 そんなヤバすぎる映画の配給を担当するのは、昨年『カニバ/パリ人肉事件38年目の真実』を配給して世に衝撃を与えたサイゾー・TOCANA。「観たら死ぬ」という超パワーワードはすでにネットの話題をさらっており、公開前から日本を震撼させている。

 今回は『アントラム』に手ごたえを感じているという、TOCANA 配給宣伝担当の叶井俊太郎氏にインタビュー。叶井氏といえば、『八仙飯店之人肉饅頭』といったゲテモノ映画から、社会現象を起こした大ヒット作『アメリ』を日本に持ってきたことで知られる伝説の映画プロデューサー。ビジネスジャーナルらしくビジネスの観点も交えつつ、『アントラム』を買い付けた“ヤバい”経緯と驚きの宣伝方法を聞いた。

『アメリ』のヒットは“棚ぼた”だった

――叶井さんといえば代表作に『アメリ』がありますが、『アメリ』については当初ゲテモノ映画だと思って買ってしまった……という話が有名ですよね。

叶井俊太郎氏(以下、叶井) 『アメリ』は企画書の段階で権利を買ったんだよ。映像すらできていなかったけど、前作で『エイリアン4』、その前にカニバリズムものの『デリカテッセン』を撮っているジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作という点だけで買うのを決めたわけ。当時の俺はB級ゲテモノ映画ばっかりやっていたし、仮に中身が失敗だったとしても『エイリアン4』でハリウッド進出した監督の最新作と売り出せば、ごまかしがきくんじゃないかと思って。

 それで数カ月後に脚本ができて、翻訳して読んでみると、なんかサスペンスになっているんだよね。文字だけだと女が男をストーカーする話になっているじゃん。だから、完全にホラーサスペンス売りで進めていたの。でも、ふたを開いたら、あんな良い映画になっていたわけ! だから、自分としては失敗だなって思ったよ。

観たら死ぬ!超いわくつきの映画『アントラム』配給のヤバい経緯を伝説の映画プロデューサー・叶井俊太郎が暴露!の画像2
映画プロデューサーの叶井俊太郎氏

――良い映画なのに?

叶井 だって、こんな良い映画になっているとは思わなかったもん。社内でも会議になったもんね。当時在籍していたアルバトロス・フィルムの社長にも「君はこんな良い映画をどうするんだね」だなんて言われてさ。「そこはもうごまかして、『エイリアン4』をウリにしましょう」って(笑)。

――『エイリアン4』をウリにするのはめちゃくちゃです(笑)。

叶井 でも、本当にそうするしかなかったんだよ。普段やっていたのが『キラーコンドーム』や『八仙飯店之人肉饅頭』とかで、良い映画を売ったことがないから。それで、本当にどうしたらいいか悩んでいたときに、フランスで『アメリ』が爆発的なヒットをして、その余波が日本に来たのよ。それでわーっと盛り上がった状態のまま、特に何もせず公開したの。そしたら日本でも爆発しちゃったっていう。ぶっちゃけ、買い付けたあとは何もやってないよ。

――あの大ヒットは棚ぼた的なものだったんですね。

叶井 本当に棚ぼたですね。買い付けの段階で一瞬悩んだだけで。結果、買ったのが良い映画だったってだけ。だから、自分的には間違って買っちゃったって気持ち。でも、『アメリ』みたいな成功例はもうないと思うんだよね。映画界的にも。ないっていうのは、企画書段階で買い付けをするなんて、今はできないと思う。

ガバガバすぎるB級C級映画業界

――『アメリ』はヒットしたことも含め、かなりレアなケースということですが、通常はどんな手順で映画の買い付けをしていくんですか?

叶井 いまだに続いているのは、海外に買い付けにいくこと。本当は現地に行かなきゃいけないんだけど、今は行かなくてもメールでデータを送ってもらえるからね。行く手間は省けたけど、ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭、トロント国際映画祭、アメリカン・フィルム・マーケットとか大きな映画祭はみんな映画を買うために現地に行っているよ。

――B級C級映画って、どのくらいの金額で購入できるんですか?

叶井 洋画の場合、5000ドルから3万ドル(約50~300万円)くらい。このあたりの金額で買えば、ある程度の儲けは出るんじゃないかな。海外の映画会社が日本市場向けに買値の設定を決めているんだけど、その目安が製作費の10分の1。1億円だったら1000万円。でも、その製作費って適当なんだよ。ほとんど1億円もかかってないから! でも1億円の明細を見せろっていう人もいないし、そもそも明細なんてないし。本当に適当なんだよ。

 マジでいい加減にしてほしいって思ったことが数十年前にあって。『えびボクサー』っていうイギリス映画があったでしょ。この映画はカンヌ映画祭でウロウロしていたときに、知らないあんちゃんが「これどうだ」って出してきた映画なんだけど、ザリガニがグローブをつけている変な画像だったから「おもしろそうじゃん!」って盛り上がっていたのよ。で、「これいくらで売ってるの?」って聞いたら、2億円とかぬかすんだよ。「たくさんCGを使ってるから、金がかかってる」なんて言っていたけどさ。

 で、半年後くらいに別の映画祭で、そいつを見かけたんだよ。「おい売れたかエビ!」って声をかけたら、まだ売れていないと。そこであらためて交渉したら2万ドル(約200万円)でいいって。2億円が半年後に200万円になったんだよ。

――金額設定が適当すぎますね(笑)。

叶井 ついでに話すと、日本の宣伝用につくったポスタービジュアルを確認してもらうために送ったら、「すばらしいビジュアルだ! イギリスでも使いたい!」って大喜びで。ビジュアルの権利料は100万円だよってふっかけてみたら、すぐ「払う」って言ってきたんだよ。本当に100万円払ってくれたよ(笑)。

――ガバガバすぎませんか?

叶井 ガバガバですよ。B級C級に限った話だけど、本当に適当だよ。みんな最初は大手に買ってほしくて映画をつくるんだけど、やっぱり売れないじゃん。そういう映画が映画祭で売りに出されて、買い叩かれていって。それがだんだんガバガバになっていって。そういう売れ残った映画を我々が買うの。日本は映画にけっこうお金を払う国だから、多分唯一世界中の映画を観られる国だと思うよ。だから、海外の映画会社も日本の市場向けにいっぱい営業をかけてくるんだよ。

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