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なぜダイヤモンド・プリンセスに寄付された崎陽軒シウマイ弁当4千食は乗客に提供されなかった?

文=編集部

 3つ目に、同船の乗客は日本人だけはありません。宗教上、シウマイ弁当の豚肉を食べられない乗客やスタッフもいます。そのうえで配る人と配らない人を分ける作業は非常に煩雑ですし、ほしいのに配られなかった人がいた場合、トラブルになります。横浜を代表するメニューで多くの人に好まれるおいしいお弁当ですが、全員に配るという計画はもともと難しかったのかもしれません」

震災被災地に届けられた大量の「筋子おにぎり」

 東日本大震災の際、津波被災地では似たような事態が発生していた。被災地に食料がないというニュースを見た企業や個人が、大量の食糧を津波で半壊した役場庁舎にトラックで搬入したのだ。保存のきく菓子や乾パンなどは時間をかけて被災者に配布できたが、困るのが保存のきかないものだった。

 岩手県関係者は次のように8年11カ月前を振り返る。

「筋子やたらこなどの生ものを使ったおにぎりが、三陸沿岸自治体の災害対策本部に届けられたことがありました。支援物資の分配を担当する自治体職員は連日徹夜で、足元がふらついていました。津波に飲まれた職員も多く、ただでさえ人員も不足していました。

 なんとか人員を工面して配布していきましたが、稼働可能な自動車も少なく、結局、その日のうちにすべての避難所に届けることはできませんでした。津波被害にあった鮭の養殖場を見た被災者もいて、『もう鮭も筋子も見たくない』といってお怒りになって、手に取らない方もいらっしゃいました。それでも善意で届けられたものですから翌日以降、数日かけて配布できなかったおにぎりを全職員で食べました。腹痛になっても、下痢になっても寝込むわけにはいきませんでした」

 通常では簡単にできることができないのが非常時だ。支援の気持ちは大切だが、被災者や被害者の個別の要望や要請に反射的に応えていると、支援を受ける側、支援をする側、双方にとって望まない結果になることもある。政府なり自治体なり、災害をコントロールする機関が乗客のニーズを調整し、要望を受け取る仕組みを構築する必要があるだろう。

(文=編集部)

 

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