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木村隆志「現代放送のミカタ」

『伝説のお母さん』前田敦子はハマり役ながら致命的な疑問点も…NHK『よるドラ』の苦悩

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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伝説のお母さん | NHK よるドラ」より

 放送前、「ロールプレイングゲームの世界を舞台に子育てを描く物語」と聞いて期待と不安が浮かんだ『伝説のお母さん』(NHK)。

 同作を放送するドラマ枠『よるドラ』らしい振り切った快作なのか? それとも、奇をてらっただけでスベリっぱなしの迷作なのか? 放送スタート前は五分五分の印象だった。

 2月1日に第1話が放送されると、「ワンオペや職場復帰の本質を突いていて何気に深い」「クスッと笑わせてくれる」などの好意的な声と、「バカバカしすぎて見ていられない」「笑えるところがまったくない」という否定的な声で二分されている。

 しかし、否定的な声が極端に厳しかった上に、視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)も第1話2.5%から第2話1.3%にほぼ半減。あらためて同作を掘り下げていくと、否定的な声を集めやすい複数の理由が浮かんできた。

『勇者ヨシヒコ』の子育て版でいいのか

 まず、そのトリッキーなコンセプトを知り、原作を読んでみることにした。『伝説のお母さん』の原作は、ブログやツイッターで連載していたネット漫画。「ワンオペ」「育休」「職場復帰」「待機児童」は、ネット漫画以前にネットコラムの中でも「刺さる人には深く刺さる」と言われる人気コンテンツであり、深夜ドラマのネタとしては悪くないように見える。

 その意味で原作漫画は、舞台をRPGの世界にして笑いを交えることで深刻さをやわらげ、子育て主婦たちのガス抜きのような作品となっていた。ところが、ドラマでは生身の人間たちが演じることで、その微妙なバランスが崩れてしまい、「RPGに置き換えているのに見ていてつらくなる」「男たちの描き方が極端にひどすぎて引いてしまう」などの声が飛んでいる。

 これを書いている私自身、毎日1歳児の子育てをしているが、「ワンオペ」「育休」「職場復帰」「待機児童」などの描き方はステレオタイプで、「何年か前の感覚ではないか」「今はもう少し状況が変わってきている」と感じてしまった。つまり、当作は現在進行形の子育て当事者というより、以前ワンオペでがんばっていたような人のほうがフィットする作品なのかもしれない。

「何年か前の感覚」という意味は、RPGをモチーフにした物語にも当てはまる。今をときめく福田雄一監督の『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)が放送されていたのは、2011年、12年、16年。RPGドラマとして確立されたシリーズ作がある上に、かなりの年月が過ぎている。「今さらなぜRPGなのか?」「せめて演出を変えてほしい」と、入り口で戸惑う人が多くても不思議ではないのだ。

前田敦子はハマり役ながら矛盾も

 子育てに挑むメイを演じるのは前田敦子。前田自身、昨年第1子を出産したばかりだけに、「8カ月の女児・さっちゃんの母親」という役柄はフィットしている。

 赤ちゃんを抱っこする姿も、泣いている赤ちゃんをあやす姿も、違和感がないのは当然。女優業をしていても、これ以上のタイムリーな役を演じるチャンスはなかなかめぐってこないだろう。

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