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いきなりステーキ、深刻な不振で資金枯渇危機…格安ステーキ店続出でコスパの悪さが顕在化

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

69億円調達でも広告宣伝費に回らない可能性

 ところで、ペッパーフードサービスは昨年12月27日に69億円を調達予定額とした新株予約権を発行すると発表したが、69億円を調達した場合、13億円をテレビCMなどの広告宣伝費に充てるとしている。この広告宣伝費の一部をステーキが柔らかいことを訴求することに充てるべきだろう。しかも、ありきたりの広告宣伝ではなく、「ステーキが固かったら全額返金」といったような思い切った広告宣伝をする必要がある。

 ただ、こうした広告宣伝ができない可能性もある。株価などの状況により新株予約権の権利行使が進まず、予定の69億円を調達できない可能性があるためだ。同社は借金である長期借入金が82億円(19年12月末時点)にまで膨れ上がっているが、もし十分な額の資金が調達できなければ、こうした借入金の返済に調達資金の大部分を優先的に振り向けざるを得なくなり、広告宣伝費に十分資金が回らないということが起きかねない。

 同社は財務内容が大きく悪化しており、十分な額の資金が調達できなければ早晩経営が行き詰まるだろう。19年12月末時点の現預金は1年前から42億円減ってわずか24億円となっており、現預金の枯渇危機に瀕している。また、自己資本は1年前から30億円減って4億6000万円にまで激減した。それに伴い、自己資本比率は13.6%から2.0%にまで低下している。

 こうした財務内容の悪化は、いきなりステーキの販売不振が原因だ。そのため、販売不振から脱却できなければ、たとえ69億円調達できたとしてもすぐに食い潰してしまい、財務内容を改善させることはできない。

 そうしたなか、安さを売りとするステーキ店が増えるなどステーキ業界は競争が激化している。

 沖縄を中心に店舗展開する「やっぱりステーキ」は税込み1000円で200グラムのステーキを武器に勢力を拡大している。最近都内で増えている「ステーキマックス」はランチで税抜き1000円で300グラムのステーキを売りとし、人気を博している。イオンの「ガブリングステーキ」は1000円前後のステーキを販売する。

 牛丼チェーン「松屋」を展開する松屋フーズホールディングスはステーキ店「ステーキ屋松」の展開を始めたが、税込み1000円で200グラムのステーキを提供する。ファミリーレストラン「サイゼリヤ」では、税込み999円のステーキを提供している。

 こうした格安ステーキを提供する店が存在感を増している。これらと比べると、いきなりステーキの割高感はさらに増す。品質向上も重要だが、値下げなどで割安感を演出することも必要だろう。両方を見直し、コスパを高めるべきだ。

 いずれにせよ、販売不振から脱却してこうした競合との競争に勝つために、早急に抜本的な対策を講じる必要があるだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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