NEW
中西貴之「化学に恋するアピシウス」

コーヒーに体脂肪減少や糖尿病改善の効果か…1日2杯で善玉腸内細菌が増加

文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部
【この記事のキーワード】

, , , ,

 依然として、コーヒー腸内細菌に良い作用をするメカニズムについては解明できていませんが、カフェインが重要な役割を担っている可能性が高いと考えられます。

 これまで、脂っこいものや塩分が多すぎるものなど、一般に健康に悪い食品を摂取すると、その食品成分が体内に吸収されて健康を害すると考えられていました。しかし、実はそのような直接作用は限定的で、腸内細菌が介在することによって、たとえば悪玉菌が脂肪を分解して有害物質のエンドトキシンをつくり出すなど、不健康状態が生み出されているようです。

1日4杯のコーヒーに脂肪燃焼効果か

 2型糖尿病は不摂生な食生活や食べ過ぎにより発症する疾患で、慢性化すると心疾患やがん疾患を併発し、最悪の場合は失明や手足の切断に至る恐ろしい病気です。しかし、この2型糖尿病の改善にもコーヒーが役立つという報告が出てきました。

 シンガポール国立大学は、コーヒーが2型糖尿病の特徴であるインスリン抵抗性を改善するかどうかの実験を行いました。体重過多の実験協力ボランティアを2つの群に分け、片方の群には1日に4杯のカフェイン入りインスタントコーヒーを飲んでもらい、それ以外の人には、比較対象としてカフェインレスのコーヒーを4杯飲んでもらいました。ボランティアには、どちらのコーヒーを飲んだのかは知らせていません。

 そして、実験開始から24週間後の体脂肪量は、カフェイン入りコーヒーの摂取群が比較対象の人々に比べて4%近く低い値になりました。研究者らは、コーヒーに含まれるカフェインが代謝を亢進させ、脂肪がより燃焼したためであると考察しています。

 ここで気になるのは、毎日4杯もカフェイン入りコーヒーを飲んで健康に悪影響は出ないのか、という点ですが、1日4杯というのは米国人の平均的な量であり、今回の実験でも、カフェインレスを飲んだ人たちと比較して健康状態に悪影響は見られなかったということです。

 ただし、カフェインは睡眠を妨げたり、不安を誘発したり、頭痛や胃の不調などの原因になることも知られています。脂肪を燃焼させるために過剰なカフェインを摂取することは生活の質を低下させる可能性があるので、注意が必要です。

(文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部)

【参考資料】

The effect of coffee consumption on insulin sensitivity and other biological risk factors for type 2 diabetes: a randomized placebo-controlled trial.

『コーヒーの科学』(講談社/旦部幸博)

『ココが知りたかった!改正化審法対応の基礎』 化学物質や製品を扱う企業が避けて通れない道、それが「化審法の手続き」。担当になった者は先輩方からいろいろ教わるものの、なかなか難解でなんだかよくわからない……。かといって、わからないでは済まされないし……どうすればいいんだろう!? 本書は、化審法実務のエキスパートが、長年の経験から、実務上で躓きやすいポイントを徹底抽出。わかりにくい部分を、かみ砕いて解説しました。2019年改正にも対応済みなので、すぐに実務で活用していただけます。「化審法に関わるようになってしまった」「化審法に関わることになってしまいそう」そんな方々に必携の1冊です。 amazon_associate_logo.jpg

関連記事