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片田珠美「精神科女医のたわごと」

新型肺炎、一億総“過剰反応”の原因…厚労省は早急にロシュ製検査キットを導入すべき

文=片田珠美/精神科医

不安を和らげるための処方箋

 このように不安をかき立てる要因がいくつもあり、払拭するのは難しい。そこで、不安を少しでも和らげるために次の2つを実行することを提案したい。

A) 検査体制の整備

B) 軽症者に関する報道

 やはり、検査を受けたいのに受けられず、疑心暗鬼になっていることが不安に拍車をかけている。一方、検査を受けて陽性とわかった人を隔離するという対策がきちんと行われているとわかれば、大衆の不安は和らぐはずだ。

 そのためには、まず何よりも検査体制を整備しなければならない。現時点で検査ができる機関は限られているので、それを増やすべきだ。スイスの製薬会社「ロシュ」が開発した遺伝子検査キットを使えば、喉の粘膜をとるだけで簡単に検査できるのに、なぜか厚生労働省は導入しようとしない。

 お金はかかるかもしれないが、国民の安全のため、そして不安を和らげるために必要なことだと思う。1日も早く「ロシュ」の検査キットを導入すべきである。

 日本での感染者を診察した医師の報告によれば、新型コロナウイルスに感染しても、その多くは軽症で回復するという。また、中国の感染者のデータを分析した世界保健機構(WHO)の報告でも、80%以上は軽症で、致死率は2%程度らしい。

 もちろん、高齢者や持病を持った方は重症化することもあるので、気をつけるにこしたことはない。それでも、軽症者が圧倒的に多いのは統計的事実なので、その事実をメディアはもっと報道しなければならない。

 感染者のプライバシーに配慮しながら、どのような症状が出て、何日間くらい続いたのか、どういう治療を受けて回復したのかといったことを伝えるべきだと思う。そうすれば、不安が和らぐのではないか。

 いたずらに不安をあおる報道ばかりでは日本社会全体が「コロナ疲れ」に陥るのではないかと危惧せずにはいられない。

(文=片田珠美/精神科医)

参考文献

ジークムントフロイト「制止、症状、不安」井村恒郎訳(『フロイト著作集第六巻』人文書院)

 

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