1月23日、中国共産党の祝賀会に出席する習近平氏(新華社/アフロ)

 4月に予定されていた中国習近平国家主席の国賓来日に黄信号が灯った。時事通信は24日、『全人代の延期決定』と題する記事を配信した。

「中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は24日、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の対策を優先し、来月5日開幕予定だった全人代の延期を正式に決定した。新たな会期は別途定める」(時事通信より)

全人代の延期、1985年以来初の異常事態

 外務省外郭団体の職員は全人代の延期について次のように語る。

「全人代は中国の国会にあたる国家の重要会合です。しかし、日本のように国権の最高機関というわけではありません。中国では基本的に共産党指導部が綿密な政策決定や立法を行うので、どちらかと言えばセレモニー的な意味合いが強いです。会期も毎年10日程度しかありません。

 とはいえ、制度的に全人代の決定は国家の決定になるので、開かれないというのは非常に危機的な状況です。1985年に3月に固定開催されるようになって初めての延期です。そんな全人代を延期しておいて、国家主席が日本に国賓として訪問するというのは、さすがに難しいのではないでしょうか。対外的にも、国内的にも批判が殺到するでしょう。当初、習氏の訪日は中国国内でも重要視されていました。しかし中国政府内はそれどころではない状況です。いまだに猛プッシュしているのは日本側だという印象はぬぐえません」

アベノミクス最後の頼み「インバウンド」も画餅に

 今年年初、中国・武漢市周辺で新型コロナウイルスの感染拡大が発覚した際から、習氏の訪日は危ぶまれていた。

 習氏の訪日には、日本政府も期待していた節がある。そもそもマスコミ各社に「死に体」と評されるアベノミクスをなんとかしたいという、日本政府の思惑もあっただろう。一連の経済浮揚策で唯一、成功したといえなくもなかったのが、訪日外国人旅行者の増加だ。外国人客数は2013年の1036万人から2019年には3188万人(日本政府観光局調べ)に増えている。昨年生じた日韓関係の悪化を踏まえ、日本政府は代替措置として中国からの集客を強化し、東京オリンピックを起爆剤にして4000万人の達成を目指していた。それが、今回のコロナウイルスで画餅に帰すのは時間の問題だ。

政府、財界、マスコミが期待した「習氏の訪日」

 自民党関係者は次のように話す。

「習近平国家主席が訪日するというのは、日本に関心のある中国の観光客を呼び寄せる意味で大きな意味を持ちます。日韓議員連盟常任幹事の二階俊博自民党幹事長は、かつて超党派の議員連盟『北京オリンピックを支援する議員の会』の副会長を務めるなど、中国通でもあります。政府は日韓関係の想像以上の悪化で韓国の訪日客が減少したこともあって、二階氏に泣きついたということのようです。訪日が無事終わるまで、『中国を無駄に叩くな』という不文律が自民党の各主流派にありました。

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