
2019年10月からの消費税増税の影響、同年11月のPayPayの親会社・ZホールディングスとLINE Payをグループに持つLINEの経営統合、そして2020年1月に発表されたメルペイを擁するメルカリによるOrigami Payの吸収合併……等々の環境激変の影響もあり、以前にもまして「使わにゃ損」状態になってきた各種ペイサービスなどのスマホ決済。
これらのサービスをさらにお得に、便利に使い倒すには、店舗を持たないネット銀行を組み合わせることもきわめて重要だろう。そこで、最新のネット銀行の傾向やシェアなどを解説しつつ、実際に利用した際の“ネットバンク使い倒し術”を、いまさらではあるが紹介していこう。
驚くほど簡単な、楽天銀行の口座開設
各種ポイントに、スマホ決済のペイサービス、それにクレジットカードを組み合わせて……と、少しでもおトクに生活するため、地道な活動を続けているのだが、大事な部分を見落としていた。そう、肝心のお金の出どころである「銀行口座」をしっかり考えていなかったのだ。
筆者のメインバンクは、某・有名都市銀行。会社に入ったときに、給与振込口座を作らなきゃいけなかったため、適当に開設したものを利用し続けている。
しかし、最近ではメガバンクの大規模リストラや地方銀行の消滅危機など、「銀行神話」が揺らいでおり、逆に需要を伸ばしているのが店舗を持たないネット銀行だ。さらに、各種ポイントサービスやペイサービスをよりおトクに利用するためには、こうしたネット銀行を絡める必要があるため、その開設から使い方までひととおり体験してみることにした。
今回、開設してみたのは「楽天銀行」だ。2010年にイーバンク銀行株式会社から商号変更し、楽天カード株式会社の子会社となった国内最大級のインターネットバンクで、2018年12月時点で700万口座が開設されている。
筆者は楽天カードも持っており、日夜ポイントをためるという「楽天経済圏」に身を置いており、以前から気になっていたネット銀行なのである。
実際にやってみると、口座開設はいたって簡単だった。PCやスマホから楽天銀行の口座開設の申し込みを行い、本人確認が済めば2日~2週間ほどで完了する。
まずはキャッシュカードを選ぶ。一般的な、クレジットカードと一体になったものから、デビット機能がやプリペイド機能がついたものなどさまざまなバージョンがあるが、筆者はペイメント機能がついていると湯水のごとく使ってしまうため、キャッシュカード機能しかついていないカードを選択した。
このあと、本人確認書類をスマホで撮影し、送信すれば手続きは完了。筆者はコンビニのコピー機で免許証をコピーするのでさえ不安になるので、スマホでの撮影はさらにセキュリティー面で不安を助長させた。しかし、この方法で700万口座開かれているのだから、大丈夫なのだろうと覚悟を決める。
約1週間後にはキャッシュカードが郵送され、すべての手続が完了した。操作自体は、スマホ1台、10分以内で完結する。マッチングサイトに登録するより簡単だった。
楽天銀行は手数料無料にする方法が多い
銀行選びをするときに、まず意識するのは手数料や金利の額だろう。しかし、いまや金利は0.001%などザラで、ATMで現金を降ろす際に手数料を210円も取られるなど、条件の悪いところが多い。ネット銀行だからこそ、できれば手数料はなるべく少なくしたいところだ。
楽天銀行には「ハッピープログラム」という優遇制度があり、これにエントリーして、ランクを上げていくと手数料無料などの特典がある。「ハッピープログラム」という、浮かれすぎで怪しいネーミングのサービスにエントリーするのはちょっとイヤだったが、そんなプライドを捨ててでも加入するメリットが多い。というか、楽天銀行ユーザーにとっては必須だ。
「ハッピープログラム」には会員ステージというランクがあり、預けている金額か、楽天銀行での取引件数によって決まる。ベーシック、アドバンスト(預金10万円以上、または取引5件以上)、プレミアム(50万円以上または10件以上)、VIP(100万円以上または20件以上)、スーパーVIP(300万円以上または30件以上)まで階層が分かれている。
300万で「スーパーVIP」というのも、持ち上げすぎというか、楽天経済圏者のリアルを感じさせるが、ランクが上がるほど特典は多くなる。
たとえば、プレミアムの人は、ATM利用手数料が月2回無料、他行への振込手数料が月2回無料、楽天スーパーポイントの獲得倍率2倍、各種手数料の楽天スーパーポイント払いが可能というサービスが受けられる。
特に給与受取口座に指定をした場合は、ランク査定件数が1件プラスされるだけでなく、無条件で他行への振込手数料が3回無料になるサービスも適用される。そのため、まずは楽天銀行をメインバンクにすることが望ましい。
実際に給与受取口座に登録すると、すぐにサービスが反映された。意外と高くついてしまう振込手数料を無料にするハードルがここまで低いというのは楽天銀行ならではの特徴だろう。
さらに、楽天銀行を給与受取口座に設定し、実際に給与が振り込まれるたびに楽天ポイントが1ポイント貯まるという謎のサービスもある。ランクが上がっても最大3ポイントと微々たるものだが、自分から何かアクションを起こさずとももらえるポイントは珍しい。
また、楽天カードを利用している人は引き落とし口座を楽天銀行に変えることで、ポイント付与率がプラス1倍になる。ちなみに、楽天ペイを使う際も楽天カードとの紐づけでポイントを二重取りできるが、さらに楽天銀行とも紐付けると三重取りができる。筆者はこの方法で、楽天ペイ単独だと0.5%だった還元率を、5倍アップの2.5%獲得することが可能になった。
さらに、先述のハッピープログラムのランクによってはさらなるポイント還元も見込めるという。