今後は営業面の動きに注目

 多くの問題が発生しているものの、「“飛行”に関しては、ほぼ完成している状態。型式証明さえクリアできれば、就航までの手続きはスムーズにいくはず」(同)だという。しかし、その後に待っている課題が営業面である。

「証明が得られ、飛べる状態になっても買い手がいなければどうしようもありません。これだけ納入が遅れると、クライアント側の印象も良くはないです。また、三菱は秘密主義という企業体質。納入遅れの原因を詳しく発表しないことからもそれは明らかですが、クライアントの不信感を払拭するためにも、もっと情報を公開するべきでしょう」(同)

 昨年にはアメリカの航空会社が受注契約を解消するなど、クライアントからの信頼が失われているようにも見える。また、スペースジェットは「リージョナル」とよばれる小型の飛行機だが、世界的には後発な上、先行しているカナダのボンバルディア社やブラジルのエンブラエル社などの同型機体に比べて価格が高い。そのため、“安心安全の日本製”というだけで買い手が多くつくかどうかは未知数だ。

「型式証明は安全性のアピールにはなると思います。しかし、納入遅れにより不信感が募っているので、マーケティング面でいかにフォローできるかにかかっているのですが、三菱がそのあたりがうまいかどうかはわかりません。ただ、海外のエアショーを見ても、ボンバルディアなどに勝るPRはできていないですね。今後は、マーケティングと各国でのサポートサービスの体制づくりが鍵になるでしょう。航空業界にいる者としては、そこの奮起に期待したいです」(同)

 国家の威信をかけて離陸したスペースジェット事業は、無事に着陸できるのだろうか。

(文=沼澤典史/清談社)

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