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異端の“中卒”作家・沖田臥竜が15年かけて世に問う純愛小説『忘れな草』とは?

文=沖田臥竜/作家
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異端の“中卒”作家・沖田臥竜が15年かけて世に問う純愛小説『忘れな草』とは?の画像1
沖田臥竜『忘れな草』

当サイトでは、山口組分裂騒動に関するレポートや犯罪分析など、社会派の書き手として活躍する作家・沖田臥竜氏。だが、同氏の物書きとしての出発点は「見知らぬ人を涙させる小説が書きたい」という想いにあったという。そんな想いを載せた小説が15年間の執筆期間を経て上梓されるにあたり、沖田氏本人が、今日までの道程をエッセイとして寄せた――。

『鉄道員』に受けた衝撃

 学生時代を振り返ってみても、哀しくなるくらい勉強というものをしたことがない。そもそも、学生時代と偉そうなことを書いているが、中卒だから、たった9年間しかない。その短い期間すら、宿題なるものに触れた覚えがまったくない。決して宿題がない学校ではなかったのに、それらに向き合う気さえなかったのだ。

 そのくせ、小学校1年生から、姉と一緒に塾に通わされていた。だが、そこでも勉強を教わった記憶がない。

 「お母さんが先生にお金を払ってるんやろう!だったら、怖い話してや!」
 「今なんて言うた !?」
 「うるさい! ばばあ! お金もらっといて、怖い話もできんのか!」
 「なんて! 誰に、ばばあなんて言ってるの!」

 鬼の形相で睨みつけてくる女性講師に、泣きながら踊りかかっていった記憶くらいしかない。

 学校でも塾でもノートにマンガばかりを書いていた。プロ野球選手になるものとばかり思っていたので、読み書きと、後は足し算引き算、かけ算割り算さえできていれば、なんとか社会で生きていけると考えていたように思う。そんな考えだから、おかげさんでろくな大人にならなかった……。

 ただ小さな頃から、作文だけは、褒められるというよりも、先生にびっくりはされていた。

 「これ、本当にあなたが1人で書いたの? お母さんかお姉ちゃんに手伝ってもらってない?」

 ばあちゃんが亡くなった時の思いを描いた作文は、学校に貼り出されたこともあった。はっきりと自覚したことはないが、物を書くのが嫌いではなかったと思う。好きと言うよりも、物を書いていると時間を忘れ、退屈な授業をやり過ごすことができると考えていたといったほうが適切だろう。

 作家になろうとはっきりと意識したのは、今から19年前の25歳の時だった。二十歳過ぎから読書を覚えたのだが、そこで出会ったのが浅田次郎著『鉄道員(ぽっぽや)』であった。それは衝撃的な出会いでもあった。文字だけで、読み手の脳裏へと入り込み、さまざまな場面を想像させて、挙げ句の果てには、泣かせて見せてくるのである。涙を流させるのである。

 早くに父親を亡くした私は、どんなことがあっても男は涙を流してはいけないと心に決めて生きていた。そんな決意すらも太刀打ちできずに、涙が止まらなかったのだ。

 それも、ノンフィクションならまだわかる。実在した登場人物に感情を移入させるのは、そこまで難しいことではない。だが小説は違う。完全な創作の世界だ。ひとりの書き手の頭の中で作り上げた物語で、泣かせにくるのである。そこに私はいたく感動させられてしまったのだ。そして誓った。自分も、ペンを武器に世に出てやろうと。

 当時のレベルは、多分人よりも作文がうまい程度だったと思う。それだけで勉強なんて全くしてこなかった。

 「オレは、作家になるねん!」

 そう周囲に宣言してみても、鼻で笑われるだけであった。誰ひとり本気にしていなかった。ただ自分自身だけは、ようやく夢を見つけることができた気がしていた。とにかくそこから、書く、読む、写すを延々と7年間繰り返すことになった。それが私の基礎になっていくのだが、書くことがしんどくて辛い時には、何度も挫けそうになりもした。

――そんなことをしてもムダムダ。やめとけ、やめとけ――

  隙を見ては、そんな感情が鎌首を擡(もた)げてくるのである。それでも、諦めたりはしなかった。それまでの人生は、途中で投げ出し、何度も諦めてきた結果がその時の現実であった。努力といっさい無縁だったのだ。一度くらい本気で努力してみてもいいのではないかと考え続けていた。

 どうしても、書くのが辛くて苦しい時には、ただひたすら空想していた。いつか自分が書いた小説が書店に並び、映画化されて、見ず知らずの人たちが、本を読んで、映画を観て、涙を流すシーンだけを想像して、自らを奮い立たせた。

 その時のイメージの中にあった小説が、まもなく発売される小説『忘れな草』となる。

ヤクザが主人公のピカレスク・ロマン

 これまで何千冊と小説を読んできた中で、やはり文芸の王道となるテーマは、出会いと別れの恋愛。そして、究極は生と死。

 『忘れな草』は、この2つのテーマをとり入れたのだが、これまでの名作と呼ばれる恋愛小説にはどう考えても太刀打ちできないし、世の藻屑へと埋もれてしまうだろう。そこで考えたのが、主人公をヤクザとした、リアルな恋愛小説。その上で、小説だからこそ描ききることのできる、ピカレスクな世界を取り入れた。

 29歳の時に書き始めた小説なので、かれこれ15年の付き合いになる。この間、何度も何度も書き直している間に、1カ月や3カ月で書き上げた本、半年かけた本、10年かけた小説などが、私の元を飛びたっていった。一方で、気がつけば、『忘れな草』を読み直しては、書き直すという作業に戻っていたのである。

 そんな物書きとしての原点であり、ライフワークだった『忘れな草』がついに出版される。やれることをやろうと心に決めた。なんせ、15年も付き合ってきた小説なのだ。上梓させて、漠然と呑気に売れるのを待っているだけというわけにはいかない。そんなことで売れるほど、今の出版業界は甘くない。

 自分の足を使い、書店回りの営業から『忘れな草』が遠い存在になるまで、やれることはやろうと思っている。心許ない小説かもしれない。だけど、ずっと夢みてきたシーンをこの小説で叶えてやりたい。

 劇場で、主題歌が流れ、まったく知らない人たちが涙を流す。

 すまぬ。バカ売れして、家が建つかもしれんな(笑)。

 『忘れな草』の発売に関して、出版社や担当編集者、デザイナー、校閲者などの方々に、この場をお借りしてお礼を申し上げます。

 結局、作家みたいなものは、こういう裏方の方々がいてくれて成り立つ商売である。たまたまクレジットに代表的な立場みたいに作家名が出るだけで、異なる持ち場にいるそれぞれの人たちが一生懸命やってくれるからこそ、時に輝ける瞬間があるのだ。作家だからと言うよりも、人として、そういった裏方の方々のことを忘れてはならないと思っている。

 そして、『忘れな草』が出たからと、一段落している場合ではない。年内にあと3冊は出す。まだまだ走り続けることになりそうだ。
(文=沖田臥竜/作家)

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沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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