過労死弁護団全国連絡会議は「過労死110番」という電話相談活動を定期的に実施している。開設日にはひっきりなしに電話が鳴り、5時間で200件を超える相談が寄せられるという。19年6月15日実施分でもっとも多かったのは「過労死予防・過重労働等相談」で、次いで多かったのはパワハラに関する相談だ。「どこに相談したらよいかわからず、ここにかけた」という声も多く聞かれるそうだ。パワハラもまた、過労自殺の負荷要因のひとつである。

「パワハラは職場の窓口に相談しても処分に至らなかったり、相談したことで自分が社内にいづらくなったりする例もあります。また、はっきりと人格否定をするような発言はパワハラと認められやすいですが、陰口や村八分的なイジメなどの目立たない嫌がらせも存在します。今後は、ハラスメントの実態を踏まえたかたちの認定基準の改正が必要になると考えます」(同)

 19年12月23日、厚労省の労働政策審議会の部会で、過労死認定の判断材料に「副業の労働時間」や「心理的な負荷」を盛り込む方針が発表された。現行の過労死認定基準は労働時間に比重が置かれているが、「今後は、より個別具体的な質的な負荷要因についても検討すべき」と松丸氏は指摘する。

「疾患を持っており障害者枠で採用された方や高齢者など、労働者の健康的な意味での属性をどの程度評価していくのか。また、本業と副業の労働時間の管理の整備をどうするのかなど、依然として曖昧な部分は多い。過労死弁護団としては、これからも行政に対して専門家としての意見を積極的に投げかけていく所存です」(同)

 働き方改革に伴い、過労死の問題もあらためてクローズアップされているが、課題は山積みなのが現実だ。

(文=松嶋千春/清談社)

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